導体の電気抵抗が磁場中で変化する現象。通常,電気抵抗は磁場とともに増加し,その増加量は弱い磁場については磁場の強度の2乗に比例するが,場合によっては電気抵抗が磁場中で減少することもある(負の磁気抵抗効果)。磁気抵抗効果は,電流と磁場の方向が垂直な場合の横磁気抵抗効果,並行の場合の縦磁気抵抗効果に分けられる。弱磁場の横磁気抵抗効果は,担体のドリフト速度の方向が,実効質量,電荷,寿命などの違いを反映してローレンツ力によるばらつきを生じ,電流方向からずれることによる。この場合,磁場による抵抗の相対的変化の大きさ⊿R/Rは,担体の寿命τとサイクロトロン運動(円運動)の角速度ωcの積の2乗,(ωcτ)2=(eHτ/mc)2程度の値になる(eは担体の電荷,Hは磁場の強さ,mは担体の質量,cは光速度)。ωcτが1に比べて大きい強磁場では,⊿R/Rは試料物質のフェルミ面の構造を反映して,さまざまな磁場依存性を示す。すなわち,閉じたフェルミ面をもつアルミニウムやナトリウムのような金属では,⊿R/Rは強磁場の極限で一定値に近づく。一方,ビスマス,アンチモンのように電子と正孔の濃度が等しい半金属では,⊿R/Rの値は磁場とともにいくらでも大きくなる。また銅や亜鉛のように磁場が結晶方位に対して特定の向きに加わる場合だけ,⊿R/Rの値の飽和が起こらないこともある。縦磁気抵抗効果は,不純物による散乱確率の磁場変化や,その他のいろいろの原因によっている。
執筆者:塚田 捷
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…1980年頃から使われてきた薄膜コイルが書込みには現在も使われている。しかし90年以降,磁気抵抗効果を利用したMRヘッドやGMRヘッドによって10年で100倍ほどの速度で急速に高密度化が進み,98年現在では円盤1枚あたり3ギガバイト以上の高密度記録が可能になった。現在,回転数は毎分4000~1万回転程度,円盤とヘッドとの距離は0.1μm以下,記録幅が2μm以下である。…
※「磁気抵抗効果」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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