外形がネコによく似た食肉目ジャコウネコ科の哺乳類。マダガスカルに分布。体長61~80cm,尾長もほぼ同長で,肩高37cm前後,体重7~12kg。体が筋肉質で,四肢のうちとくに後肢が長く,頭部が丸いことなど,ネコによく似るが,吻(ふん)が突出し,耳介は丸い。かぎづめは鋭く,ネコのように引き込めることができるが,歩行法はネコのように指先で歩く指行性でなく,クマのように足裏全体をつけて歩く蹠行(しよこう)性である。毛は短く光沢があり,ふつうは赤褐色,ときに黒色。海岸部の低地から標高2000mほどの山地にある森林や木の多い草原に単独ですむ。おもに夜行性で,日中はしばしば岩穴などで休息している。巣穴は古いアリ塚などで,地中から巣室までトンネルが続く。木登りが非常に巧みで,木の上でキツネザルを追い回したりする。食物は小哺乳類,鳥が主で,他にトカゲ,カエル,昆虫を食べる。交尾期は9~10月,妊娠期間3ヵ月ほどで,ふつう1産2子を生む。寿命は飼育下で17年の記録がある。
→ジャコウネコ
執筆者:今泉 忠明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
哺乳(ほにゅう)綱食肉目ジャコウネコ科の動物。マダガスカル島の森林地帯に分布し、島内の食肉類としては最大種である。頭胴長60~75センチメートル、尾長55~70センチメートル、体重7~12キログラム。体が細長くて尾も長く、耳介や頭が丸く、鉤(かぎ)づめは鋭くて引っ込めることができ、ネコに類似する。歩行様式は半蹠行(しょこう)性。毛は短くて密生し、体の背面の色は赤褐色、腹面はやや淡い。地上にすみ、聴覚や視覚は鋭い。夕方から夜にかけて活動し、キツネザル、鳥などを食べるが、ときに家禽(かきん)や家畜を襲う。普通は単独で生活し、9~10月の繁殖期には数頭の小群をつくる。雄は肛門腺(こうもんせん)や包皮腺から分泌される分泌液をつけて縄張りを示す。12月~翌年1月に1産2~4子を産む。
[吉行瑞子]
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