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フォースター Forster, Edward Morgan

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

フォースター
Forster, Edward Morgan

[生]1879.1.1. ロンドン
[没]1970.6.7. コベントリ
イギリスの小説家,批評家。ケンブリッジ大学に学び,ブルームズベリー・グループに加わった。処女作『天使も踏むを恐れるところ』 Where Angels Fear to Tread (1905) ,自伝的な『最も長い旅』 The Longest Journey (07) ,対立する価値観と人間関係を描いた『ハワーズ・エンド邸』 Howard's End (10) ,インドを舞台にイギリス人とインド人の対立を描いた『インドへの道』A Passage to India (24) など5冊の小説を発表後,評論,旅行記などに転じ,特に広い視点から自由に小説を論じた『小説の諸相』 Aspects of the Novel (27) は広い支持を得た。直截で形式ばらない文体で綴られた彼の著作は,時代や社会の価値観の多くを容認せず,個人的な感情や衝動が社会的因襲に優越するという見解で貫かれている。

フォースター
Forster, John

[生]1812.4.2. ニューカッスル
[没]1876.2.2. ロンドン
イギリスの伝記作家,ジャーナリスト。『エグザミナー』誌の編集にたずさわり,多くの文人と交遊,特にディケンズとは親しく,文学的な助言も与えた。『ディケンズ伝』 Life of Charles Dickens (1872~74) は,ディケンズの生涯について今日なお最大の材料を提供するもの。その他『ゴールドスミス伝』 Life of Oliver Goldsmith (48) などがある。

フォースター
Forster, William Edward

[生]1818.7.11. ドーセット,ブラッドポール
[没]1886.4.5. ロンドン
イギリスの政治家。クェーカー教徒の家に生れ,ヨークシャーで羊毛工業家として成功。 1861年以降自由党下院議員。 W.グラッドストン内閣の教育相として 70年教育法案を通過させ,国民の世俗的教育に対する国家責任の原則を確立した。その後,80~82年アイルランド相。

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百科事典マイペディアの解説

フォースター

英国の小説家ブルームズベリー・グループの一員。代表作《ハワーズ・エンド》(1910年),《インドへの道》(1924年)のほか《いとも長き旅》(1907年),《眺めのいい部屋》(1908年)など。
→関連項目ストレーチーパトナーリーンレッドグレーブ

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世界大百科事典 第2版の解説

フォースター【Edward Morgan Forster】

1879‐1970
イギリスの小説家,批評家。いわゆるブルームズベリー・グループの一人。1901年ケンブリッジ大学を卒業後イタリアに遊び,翌年末帰国。05年家庭教師として数ヵ月ドイツに滞在したのち,因襲的で偽善的なイギリスのヘリトン家の人々と,この家を抜け出した若い未亡人と結婚する開放的で即物的なイタリア人との対立を,後者に共感を寄せつつ扱った《天使も踏むを恐れるところ》を発表。第2作《いと長き旅路》(1907)では,自由と真実を代表するケンブリッジのアンセル,ロンドンの俗物世界のアグネス,およびウィルトシャーの自然児スティーブという3者の間で揺れ動く主人公リッキーを描いた。

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大辞林 第三版の解説

フォースター【Edward Morgan Forster】

1879~1970) イギリスの小説家。象徴的・暗示的な方法を用いて人間の内面を描いた。代表作「ハワーズ-エンド邸」「インドへの道」

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

フォースター
ふぉーすたー
Edward Morgan Forster
(1879―1970)

イギリスの小説家、評論家。1月1日、ロンドンの福音(ふくいん)派の一派で富裕なクラパム派の名家につながる建築家の子として生まれた。ケンブリッジ大学に学んだが、のちに「ブルームズベリー・グループ」を形成する人々と交わり、因習化して自由を拘束するばかりのキリスト教を棄(す)て、人間の多面的才能を養うことを理想とする異教的なギリシア文化にひかれた。卒業後イタリア、ギリシアなどを旅行、短編集『天国行きの馬車』(1911)、『サイレンの物語』(1920)に収められた初期の作品の想を得た。想像力に欠けるイギリス中産階級の因習的な人生観を打破する異教的・神秘的経験を描いたもの。長編の処女作『天使も踏むを恐れるところ』(1905)では、奔放なイタリア文化と抑制されたイギリス文化を対比させ、多分に自伝的な『果てしなき旅』(1907)とふたたびイタリア体験を織り込んだ『眺めのいい部屋』(1908)でも、当時の中産階級の人生観を批判する自然児を登場させて新鮮な衝撃を与えた。続く大作『ハワーズ・エンド邸』(1910)では自由主義的だが観念的で階級意識の強い文化と実務的・功利的な文化をそれぞれ代表する二家族が対立から結合に至る過程を描き、長い沈黙をへて代表作『インドへの道』(1924)では、インドでの生活体験をもとに、異文化間の相互理解のむずかしさを描いた。これらの作品には、現世での人間相互の理解の困難に絶望しながらも、神秘的経験に媒介される理解の可能性が暗示されている。その現代文化批判には友人D・H・ローレンスと根本で通じるものがあるが、フォースターは理念の極で過激な批判を下す反面、現実の極で積極的な愛よりも妥協的な寛容を説いて尊敬を集めた。こうした思想を展開し、その根本としての言論の自由を擁護した時事的評論の数々は『アビンジャー・ハーヴェスト』(1936)、『民主主義に万歳二唱』(1951)に収められている。1970年6月7日没。死後出版の同性愛小説『モーリス』(1971)は世の人々を驚かせた。[小野寺健]
『中野康司訳『天使も踏むを恐れるところ』(1993・白水社)『E・M・フォースター著作集』(1994~95・みすず書房) ▽高橋和久訳『果てしなき旅』全2冊(岩波文庫) ▽小野寺健編訳『フォースター評論集』(岩波文庫) ▽近藤いね子編『フォースター』(1967・研究社)』

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世界大百科事典内のフォースターの言及

【インドへの道】より

…イギリスの作家E.M.フォースターの小説。1924年刊。…

【ブルームズベリー・グループ】より

…名称はスティーブン家がロンドンのブルームズベリー街にあったことに由来する。メンバーは,姉妹のそれぞれ夫になるクライブ・ベル,レナード・ウルフをはじめ,J.M.ケインズ,リットン・ストレーチー,ロジャー・フライ,E.M.フォースターらで,美術評論家,政治評論家,経済学者,小説家など多分野にわたっているが,いずれも同世代でケンブリッジのトリニティ,キングズ両学寮で学んだ。そして当時の哲学教師G.E.ムーアの《倫理学原理》(1903)の中の〈最も価値あることは人の交わりの喜び,美しいものを享受すること〉という文句に影響されていた。…

【物語】より

…その特徴は,中心となる人物の行動を軸として,作品が始め,中間,終りからなる完結性をもつことであろう。イギリスの小説家E.M.フォースターが,〈小説のかなめは物語であり,物語とはできごとを時間順に語ったものである〉(《小説の諸相》1927)と述べているのも,これと似た考え方である。 こうした考え方は今日でも根強くあるが,その一方で,とくに1960年代以降,フランスの構造主義に属する人々によって推進されてきた物語研究の新しい動きがある。…

※「フォースター」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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