サイレン(その他表記)siren

翻訳|siren

デジタル大辞泉 「サイレン」の意味・読み・例文・類語

サイレン(Siren)

ギリシャ神話の魔女セイレーンの英語名。
(siren)
警報時報などに使われる音響発生装置。また、その音響。多くの小穴をあけた2枚の円板を重ね、一方から空気を吹きつけながら他方を回転させると音が出る原理を応用したもの。
有尾目サイレン科のサンショウウオ。全長60~90センチ、ウナギ形で、尾部はひれ状。成体になっても一対の外えらがある。前肢は小さく、後肢はない。米国南西部に分布

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精選版 日本国語大辞典 「サイレン」の意味・読み・例文・類語

サイレン

  1. [ 1 ] ( [英語] Siren ) ギリシア神話の女神「セイレン」の英語名。
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙 ( [英語] siren ) 羽、穴あき円板などの回転により空気を断続して、音を発生させる装置。また、その音。非常に大きな音を出すことができるので警報装置、工場の仕事や野球の試合の開始・終了の合図などに用いられる。〔物理学術語和英仏独対訳字書(1888)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「サイレン」の意味・わかりやすい解説

サイレン
siren

別名シレン。一生外鰓がいさい)を失わずに水中生活を送る有尾目サイレン科Sirenidaeの両生類の1種およびこの科に属するものの総称。英名および学名は,ギリシア神話の海の女怪セイレンによるというが,理由は不明。サイレン類は3種がアメリカ合衆国南東部に分布する。サイレンSiren lacertinaオオサイレンとも呼ばれるように大型で,全長50~98cm,胴は太いウナギ形で,尾部の上下の縁はひれ状となる。一生3対の外鰓を失わず,川,沼,池の水生植物の多い淡水にすむ。他のサイレン類と同じく小さな前肢があるだけでまったく後肢を欠く。眼は退化して小さく,水生昆虫などの小生物を餌とするほか,水草をも飲みこむ。ヌマサイレンS.intermediaは全長18~68cmまで大きさに差が見られ,4本の指には角質化したつめがある。ヒメヌマサイレンPseudobranchus striatusは全長12~20cmの小型種で,外鰓は短くてあまり発達せず,指は3本。サイレン類はすべて卵生で,水草の葉などに卵を産みつける。
執筆者:



サイレン
siren

音響装置の一種で,送風機や圧縮機からの空気の通路をふさぐように,円周上に等間隔に小穴を開けた2枚の円板を重ねておいたもの。円板の1枚を回転させると,2枚の板の小穴が合ったときだけに穴から空気が噴出し,この断続的な空気流によって,穴数と円板の回転数とを掛けた周波数を基本音とした音が発生する。1819年,フランスの物理学者カニャール・ド・ラ・トゥールCharles Cagniard de la Tour(1777-1859)によって発明された。ふつうのスピーカーに比較して大きな音を発生させることができるので,強力音源として信号や警報用の装置に利用されている。また適当な周波数をもった強力な音波は,気体中の微粒子を結合させて大きくする機能をもつため集塵装置の一機種として使われることがある。
執筆者:

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「サイレン」の意味・わかりやすい解説

サイレン(音響器械)
さいれん
siren

警報、時報、信号などに使用される音響器械。1819年フランスの物理学者トゥールC. C. de la Tourが考案した。小さい穴をたくさんあけた二つの円板を重ね合わせ、この穴に空気を吹き付け、一方の円板を回転させると、両方の板の穴の位置があったときにだけ空気が吹き抜ける。このとき、小さい穴の数と円板の回転数とを掛け合わせた振動数の音を発生する。円板の回転数を変えると高低さまざまの音を出せる。空気は別に備えた送風機で吹き付けたり、回転する円板自身が送風機の役目をするようになっているものなどがある。円板を回転させるのにはハンドルを手で回すものと、モーターによるものとがある。発生する音はかなり大きく遠方まで届くので、救急車、消防車や騒音の多い工場などで使用される。なお、現在では電子式のサイレンも多く使われるようになってきている。

[中山秀太郎]



サイレン(動物)
さいれん
siren
[学] Siren lacertina

両生綱有尾目サイレン科の動物。アメリカ合衆国南東部に分布する。体は細長く、灰色または暗緑色でウナギに似る。しばしば多数の円形黒斑(こくはん)があり、幼体は体側に淡色の縦条をもつことが多い。前肢は小さく、後肢はない。目は小さく、頸部(けいぶ)に羽毛状の3対のえらがある。全長60センチメートル前後でまれに90センチメートルに達する。池、溝、水田、流水にすみ、ザリガニなどを捕食する。池が干上がると、体表から粘液を分泌し、それが硬化して休眠中の体を包む被膜となる。卵生で、大形の卵を1個ずつ水草に産む。

 サイレン科には本種のほかコガタサイレンS. intermedia、チビサイレンPseudobranchus striatusが含まれ、すべてアメリカ合衆国産である。

[倉本 満]



サイレン(セイレン)
さいれん

セイレン

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サイレン」の意味・わかりやすい解説

サイレン
Seirēnes

ギリシア神話に登場する上半身は人間の女,下半身は鳥の形をした怪物。海神フォルキュス,または河神アケロオスの娘で,数は2人とも3人ともいわれ,南イタリアのソレントから遠くない島に住み,妙なる歌声によって,付近を通る船乗りたちを暗礁に引寄せては難破させ,えじきにしていたが,オデュッセウスの船を難破させるのに失敗したあと海に身を投げ,石に変ったという。

サイレン
Siren lacertina; greater siren

サンショウウオ目サイレン科。体長 70~90cm。体は細長いウナギ状で,小さい前肢があるが後肢はなく,まぶたもない。3対の外鰓をもち,一生を水中で生活する。おもに沼沢地にすみ,おたまじゃくしの口に似た角質の口器でおもに植物質を食べる。卵は1個ずつ産みつけられることも,数個が固まっていることもある。乾季には水底の泥の中に深くもぐって休眠する。北アメリカ南東部に分布する。

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百科事典マイペディア 「サイレン」の意味・わかりやすい解説

サイレン

円周上に等間隔に小孔をあけた2枚の円板を重ね,一方を回転しながら空気を送って大きい音を発生させる装置。両方の小孔が合ったときだけ空気が噴出するので音の振動数は小孔の数と円板の回転数の積に等しい。1819年フランスのカニャール・ド・ラ・トゥール〔1777-1859〕が発明。古くは音の振動数測定,現在は信号や警報の音源や音波集塵(しゅうじん)器に利用。

サイレン

サイレン科に属する両生類の総称。3種が北米南東部に分布する。全長は10〜90cm。体形はウナギ形で,外鰓と小さな前あしをもち,後あしを欠く。体色はオリーブ色または暗灰色で,淡色の斑点がある。一生を泥深い沼ですごし,小動物や昆虫を捕食する。生息する池や水路が干上がったときには,夏眠する習性がある。繁殖行動は不明。日本へはペットとして輸入される。

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世界大百科事典(旧版)内のサイレンの言及

【サイレン】より

…音響装置の一種で,送風機や圧縮機からの空気の通路をふさぐように,円周上に等間隔に小穴を開けた2枚の円板を重ねておいたもの。円板の1枚を回転させると,2枚の板の小穴が合ったときだけに穴から空気が噴出し,この断続的な空気流によって,穴数と円板の回転数とを掛けた周波数を基本音とした音が発生する。1819年,フランスの物理学者カニャール・ド・ラ・トゥールCharles Cagniard de la Tour(1777‐1859)によって発明された。…

【セイレン】より

…その数は2人または3人で,シチリア島近くの小島に住み,美しい声で船人を魅了し,島に上陸させてはこれを滅ぼしたと伝えられる。英語のサイレンの語源。イアソンが指揮するアルゴ船がこの島に近づいたときは,オルフェウスが竪琴をかなでて彼女らの歌に対抗し,仲間の危難を救った。…

※「サイレン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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