サイレン(読み)さいれん(英語表記)siren

翻訳|siren

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サイレン」の意味・わかりやすい解説

サイレン(音響器械)
さいれん
siren

警報時報信号などに使用される音響器械。1819年フランスの物理学者トゥールC. C. de la Tourが考案した。小さい穴をたくさんあけた二つの円板を重ね合わせ、この穴に空気を吹き付け、一方の円板を回転させると、両方の板の穴の位置があったときにだけ空気が吹き抜ける。このとき、小さい穴の数と円板の回転数とを掛け合わせた振動数の音を発生する。円板の回転数を変えると高低さまざまの音を出せる。空気は別に備えた送風機で吹き付けたり、回転する円板自身が送風機の役目をするようになっているものなどがある。円板を回転させるのにはハンドルを手で回すものと、モーターによるものとがある。発生する音はかなり大きく遠方まで届くので、救急車消防車騒音の多い工場などで使用される。なお、現在では電子式のサイレンも多く使われるようになってきている。

[中山秀太郎]



サイレン(動物)
さいれん
siren
[学] Siren lacertina

両生綱有尾目サイレン科の動物。アメリカ合衆国南東部に分布する。体は細長く、灰色または暗緑色ウナギに似る。しばしば多数の円形黒斑(こくはん)があり、幼体は体側に淡色の縦条をもつことが多い。前肢は小さく、後肢はない。目は小さく、頸部(けいぶ)に羽毛状の3対のえらがある。全長60センチメートル前後でまれに90センチメートルに達する。池、溝、水田流水にすみ、ザリガニなどを捕食する。池が干上がると、体表から粘液を分泌し、それが硬化して休眠中の体を包む被膜となる。卵生で、大形の卵を1個ずつ水草に産む。

 サイレン科には本種のほかコガタサイレンS. intermedia、チビサイレンPseudobranchus striatusが含まれ、すべてアメリカ合衆国産である。

[倉本 満]



サイレン(セイレン)
さいれん

セイレン

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サイレン」の意味・わかりやすい解説

サイレン
Seirēnes

ギリシア神話に登場する上半身は人間の女,下半身は鳥の形をした怪物。海神フォルキュス,または河神アケロオスの娘で,数は2人とも3人ともいわれ,南イタリアのソレントから遠くない島に住み,妙なる歌声によって,付近を通る船乗りたちを暗礁に引寄せては難破させ,えじきにしていたが,オデュッセウスの船を難破させるのに失敗したあと海に身を投げ,石に変ったという。

サイレン
Siren lacertina; greater siren

サンショウウオ目サイレン科。体長 70~90cm。体は細長いウナギ状で,小さい前肢があるが後肢はなく,まぶたもない。3対の外鰓をもち,一生を水中で生活する。おもに沼沢地にすみ,おたまじゃくしの口に似た角質の口器でおもに植物質を食べる。卵は1個ずつ産みつけられることも,数個が固まっていることもある。乾季には水底の泥の中に深くもぐって休眠する。北アメリカ南東部に分布する。

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