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フシナシミドロ Vaucheria

世界大百科事典 第2版の解説

フシナシミドロ【Vaucheria】

水田や溝などに多く生育する緑色,糸状の管状藻類の1属で,不規則に分枝して全体はマット状を呈する。体は多核体で,隔膜のない1個の細胞から成る。有性生殖は体の側部にできる生卵器と造精器でつくられる卵と精子の合体による。無性生殖糸状体の先端につくられる遊走子による。遊走子は球形ないし楕円形で,等長の2鞭毛を多数もち,直径が約100μmにも及ぶ大型の集合性遊走子である。フシナシミドロは以前は緑藻類に所属させられたが,光合成色素クロロフィルbをもたないこと,貯蔵物質がデンプンでなく油であること,精子が側部にもつ2鞭毛のうち,前方にのびるものは羽形構造であることなどの特徴から黄緑藻綱に所属させる学者が多い。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

フシナシミドロ
ふしなしみどろ
[学]Vaucheria

黄色植物、黄緑藻類の1属。体は分枝した糸状になり、フェルト状に群生する。和名の由来は、隔壁のないひとつながりの体内に多核の原形質が入っていることによる。緑色をしているため、古くは緑藻類に入れられていたが、クロロフィルbはなく、また、遊走子と精子の鞭毛(べんもう)のつくりが緑藻とは異なることから、現在では黄緑藻類に移された。約40種知られ、淡水にも海水にも産するが、いずれも浅い水辺に生育する。フウセンモはこれとごく近縁の種である。[小林 弘]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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