フジキ(読み)ふじき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フジキ」の意味・わかりやすい解説

フジキ
ふじき / 藤木
[学] Cladrastis platycarpa Makino

マメ科(APG分類:マメ科)の落葉高木。葉は9~13枚の小葉からなる奇数羽状複葉葉柄の基部には翌春伸びる芽が埋まっている。小葉は卵状長楕円(ちょうだえん)形、長さ5~10センチメートル。6~7月、枝先の円錐(えんすい)花序に、長さ約1.5センチメートルの白色の蝶形花(ちょうけいか)を多数つける。雄しべは10本で、離生する。豆果(とうか)は広線形、長さ5~8センチメートル、平たく、縁(へり)に翼がある。本州の福島県以西と四国山地に生える。和名フジキも別名ヤマエンジュも、葉がフジやエンジュに似ていることによる。本州(関東地方以西)、四国、九州のユクノキC. shikokiana (Makino) Makinoはフジキによく似るが、若枝や葉軸に赤褐色の縮れた軟毛があり、葉の裏面は粉白色で、豆果に翼がないことなどで区別できる。

[立石庸一 2019年11月20日]

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改訂新版 世界大百科事典 「フジキ」の意味・わかりやすい解説

フジキ (藤木)
Cladrastis platycarpa (Maxim.) Makino

葉がフジやイヌエンジュの葉に似ているので,フジキ,ヤマエンジュ(山槐)と呼ばれるマメ科の落葉高木で,山地の林の中に生える。葉は互生し,奇数羽状複葉で,長さ20~30cm,7~13個の小葉をつける。小葉は互生し,卵状長楕円形,先端は鋭尖形,長さ4~8cm,葉の表は緑色,裏は淡緑色である。6~7月に枝の先に大型の円錐花序を出し,多数の白色の蝶形花をつける。花は長さ12~15mm,萼は褐色,おしべは10本あり,離生する。果実は扁平,狭長楕円形から広線形で長さ5~9cm,幅約1.5cm,無毛,両側に狭い翼があり,熟して褐色となる。種子は1~3個で扁平,長楕円形である。本州(福島県以西),四国,対馬,さらに中国に分布する。材を建築や細工などに用いる。辺材は白色,心材は黄色である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フジキ」の意味・わかりやすい解説

フジキ(藤木)
フジキ
Cladrastis platycarpa; yellowwood

マメ科の落葉高木で,関東以西の本州と四国の山地に生える。幹は 15mにも達し,高くそびえて分枝する。葉は短い柄をもち8~13個の小葉から成るが,小葉は長さ5~10cmで互生し,対にはならない。1~2個の線形の小托葉がある。6~7月に,白色の蝶形花を複総状花序につける。軸や花柄,萼には褐色の短毛を密生する。長い莢果は平たく両側に翼があり,両面に毛はない。

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