フョードロフ(Nikolay Fyodorovich Fyodorov)(読み)ふょーどろふ(英語表記)Николай Фёдорович Фёдоров/Nikolay Fyodorovich Fyodorov

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

フョードロフ(Nikolay Fyodorovich Fyodorov)
ふょーどろふ
Николай Фёдорович Фёдоров/Nikolay Fyodorovich Fyodorov
(1828―1903)

ロシアの宗教思想家。ガガーリンPavel Ivanovich Gagarin(1798―1832)公爵と農奴との間の庶子。地方の諸都市で歴史と地理を教えたのち、1868年モスクワに移り、1874年から1898年までルミャンツェフ博物館司書。自給自足の禁欲生活を送り、私有を罪悪視して、通年着衣は一着のみ、定居ももたなかった。生前自著を出版せず、死後その草稿と書簡が、弟子のコジェブニコフVladimir Aleksandrovich Kozhevnikov(1852―1917)とペテルソンNikolai Pavlovich Peterson(1844―1919)により『公共のわざの哲学』Философия общего дела/The philosophy of the Common Task表題で刊行された(第1巻、第2巻)。生者たちの有機的結合体(ブラーツトウォ)が先祖崇拝により死者たちを復活させ、そのことで現世に全死者と全生者が結合する楽園が築かれるというのが彼の思想の核である。そのための構案をロシア独自の墓地や過去帳、聖像画(イコン)、農民風習などを基に展開する。

[御子柴道夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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