フリティラリア(読み)ふりてぃらりあ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フリティラリア」の意味・わかりやすい解説

フリティラリア
ふりてぃらりあ
[学] Fritillaria

ユリ科(APG分類:ユリ科)フリティラリア属の総称バイモ属ともいう。北半球の温帯に約85種分布する。クロユリ(黒百合)、バイモ(貝母)F. thunbergii Miq.(F. verticillata var. thunbergii Miq.)やインペリアリスF. imperialis L.がよく栽培される。耐寒性は強いが暑さには弱い。鉢植えや庭植えにする。バイモは中国原産。鱗茎(りんけい)は多肉質の2枚の鱗片が重なり合って球状となる。茎は高さ50センチメートル。3~4月、一茎に2~3個の鐘状花を開く。花は淡黄色外面に緑色の条(すじ)が入り、内側に紫色の斑点(はんてん)がある。別名アミガサユリ(編笠百合)はこの花形に由来する。茶花として好まれ、球根は薬用とする。インペリアリスはヒマラヤ、中近東原産。球根は大形で、茎は高さ1メートル。葉は無柄の広披針(こうひしん)形で、30~40個が対生または互生して密につき、その中心から伸びた花茎頂に、径約4センチメートルの鐘状花を7~8個、輪状に垂下してつける。園芸品種が多く、花期は4~5月、花色は橙(だいだい)、黄、褐赤色などである。なお花には悪臭がある。

[植村猶行 2018年12月13日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フリティラリア」の意味・わかりやすい解説

フリティラリア
Fritillaria; fritillary

ユリ科フリティラリア (バイモ) 属の総称。北半球の温帯に約 100種が分布する球根性多年草。日本原産のクロユリコバイモ,中国から渡来したバイモなども本属に含まれる。葉は互生,対生または輪生し,披針形ないし線形に近い長披針形。茎頂に1~十数花をつける。花は鐘形状に下垂する。フリティラリア・インペリアリス F.imperialisは堂々たる草姿で知られ,草丈 60~100cm。茎頂に十数個の黄色または橙赤色の花をつけ,ヨーロッパの庭園ではよくみられる植物の1つである。暗褐色の花をつけるフリティラリア・ペルシカ F.persicaのほか,地色の白色と紫紅色やチョコレート色が細かな市松模様になるフリティラリア・メレアグリス F.meleagrisなどが,観賞用に栽培される。 10月頃球根を植付ける。半日陰で管理し,花後に葉が黄変したら球根を掘上げて乾燥貯蔵する。多くの種は高温多湿に弱い。

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百科事典マイペディア 「フリティラリア」の意味・わかりやすい解説

フリティラリア

バイモやクロユリの仲間を総称する属名であるが,園芸的にはその1種であるヨウラクユリ(オウカンユリとも)をさすことが多い。これは小アジア〜インドに原産する球根植物で,ヨーロッパでは古くから栽培されてきたが,日本でも近年花壇や切花に利用される。高さ60〜100cmになる太い茎の下部に,広披針形の葉を数十枚密につけ,茎頂にそれより小型の葉を房状につける。花は鐘形で長さ5cmあまり,初夏に茎頂の葉叢のなかから数個が長い柄で垂れ下がる。花色はだいだい赤色や黄色など。分球でふやす。

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