ブリヂストン

改訂新版 世界大百科事典 「ブリヂストン」の意味・わかりやすい解説

ブリヂストン[株]

世界的な技術と生産能力をもち,国内でトップ,世界でも屈指タイヤ・メーカー。前身は,1930年石橋正二郎(1889-1976)が日本足袋(株)(1918設立。のち日本ゴム。現,アサヒコーポレーション)の社長就任と同時に設けたタイヤ部。石橋の目的は,当時全面的に輸入に依存していたタイヤの国産化と,タイヤの輸出による外貨獲得への貢献にあった。31年タイヤ部を分離独立,ブリヂストンタイヤ(株)が設立された(〈ブリヂストン〉は石橋を英語におきかえ,ひっくり返したもの)。第2次大戦中は軍需品生産を行い,42年社名を日本タイヤ(株)と改称。51年,社名を旧に復しブリヂストンタイヤ(株)とした。同年,世界最大のアメリカのタイヤ会社グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー社と技術提携し(1979年技術交流契約に変更),同社からの技術導入と独自の技術開発力により,レーヨンタイヤ,ナイロンタイヤの生産,合成ゴムの研究を業界にさきがけて行った。また,60年代前半の工場新設はモータリゼーション進展と軌を一にし,業界での地位を確固たるものにしていった。67年にはラジアルタイヤ量産・量販体制を整えた。海外販売戦略も1956年のシンガポール支店の開設以来積極的に展開し,83年にはアメリカのファイアストン社のテネシー工場を買収している。84年,タイヤ市場の成熟化に備え,多角化戦略を打ち出し,非タイヤ部門強化をめざし,社名を(株)ブリヂストンと改めた。売上構成はタイヤ部門が80%で,残りはコンベヤベルト,ゴムホースウレタンフォームゴルフボールなどである(2004)。資本金1264億円(2005年9月),売上高2兆6914億円(2005年12月期)。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブリヂストン」の意味・わかりやすい解説

ブリヂストン(株)
ぶりぢすとん

タイヤ業界で世界トップ企業。前身は福岡久留米(くるめ)市の足袋(たび)製造業。石橋正二郎(しょうじろう)は家業仕立物屋を足袋専業とし、1918年(大正7)日本足袋を設立、ゴム底の地下足袋とゴム靴の製造を行った。その後、自動車用タイヤの国産化を決意し、1931年(昭和6)ブリッヂストンタイヤを設立した。第二次世界大戦中の1942年に社名を日本タイヤに変更、戦後51年(昭和26)にブリヂストンタイヤとなる。同年アメリカのグッドイヤー社と技術提携するとともに、レーヨンタイヤの生産を開始。1958年にはナイロンタイヤ生産を始め、モータリゼーションの展開にあわせて、相次いで工場の新増設を行った。同社は早くから輸出に力を入れるとともに、1960年代にシンガポール、タイに合弁会社を設立し、海外生産を開始した。1982年にアメリカのファイアストン社ナッシュビル工場を買収し、北米でのタイヤ生産を開始、88年にはファイアストン社を買収して子会社とし、世界各地に生産拠点をもつグローバル企業となった。1984年に社名をブリヂストンに変更した。各種タイヤ、産業用ベルト、ウレタンフォームの製造のほか、子会社ではスポーツ用品等に展開している。資本金1264億円(2008)、売上高1兆0522億円(2007)。

[中村青志]

『創立五十周年社史編纂委員会編纂『ブリヂストンタイヤ五十年史』2冊(1982・ブリヂストンタイヤ)』

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百科事典マイペディア 「ブリヂストン」の意味・わかりやすい解説

ブリヂストン[株]【ブリヂストン】

石橋正二郎が久留米に興した前身のゴム加工業のタイヤ部を分離独立させ1931年設立。タイヤの世界3強の一角で,旧社名ブリヂストンタイヤ,1984年現社名に改称。1988年米国2位のファイアストンを買収,子会社化した。工業用・家庭用ゴム製品,二輪車も生産,本社東京。工場久留米,小平,横浜など。米国,タイ,インドなど世界25ヵ国で現地生産。2006年の海外売上比率は75%に達している。さらに,自動車F1レースなど,各種モータースポーツでも実績をもつ。2011年資本金1263億円,2011年12月期売上高3兆243億円。売上構成(%)は,タイヤ84,多角化16。海外売上比率77%。
→関連項目JSR[株]ブリヂストン美術館

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブリヂストン」の意味・わかりやすい解説

ブリヂストン

タイヤの世界トップメーカー。1918年石橋正二郎が設立した日本足袋が前身。1930年に純国産自動車タイヤ第1号を試作。商品名を「ブリヂストン」とする。1931年にブリッヂストンタイヤ設立。1942年日本タイヤと改称。1949年ブリヂストン自転車を分離設立。1951年ブリヂストンタイヤと改称。1984年現社名に変更。自動車タイヤを中心に建設機械用大型タイヤ,ホース,ベルトなどの各種工業用ゴム製品,ウレタンフォームなどを生産している。海外進出も盛んに行ない,シンガポール,タイ,アメリカ合衆国,インドネシアをはじめとする国々に子会社を設立。1988年アメリカのファイヤーストーン・タイヤ・アンド・ラバーを買収するなど関連会社多数。ゴルフボールなどスポーツ用品にも進出。

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日本の企業がわかる事典2014-2015 「ブリヂストン」の解説

ブリヂストン

正式社名「株式会社ブリヂストン」。英文社名「BRIDGESTONE CORPORATION」。ゴム製品製造業。昭和6年(1931)「ブリッヂストンタイヤ株式会社」設立。同17年(1942)「日本タイヤ株式会社」に改称。同26年(1951)「ブリヂストンタイヤ株式会社」に改称。同59年(1984)現在の社名に変更。本社は東京都中央区京橋。タイヤメーカー。シェア世界トップクラス。ほかに化成品やスポーツ用品など。東京(第1部)・名古屋(第1部)・福岡の各証券取引所上場。証券コード5108。

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とっさの日本語便利帳 「ブリヂストン」の解説

ブリヂストン

創業者・石橋正二郎の姓を直訳してstonebridge、これをひっくり返してbridgestone

出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報

世界大百科事典(旧版)内のブリヂストンの言及

【タイヤ】より

…日本の自動車用タイヤはアメリカに次いで世界第2位の規模で,1995年の生産本数は1億4980万本,金額で7900億円となっている。自動車用タイヤの業界は世界的に寡占化の方向にあり,日本でもブリヂストン,横浜ゴム,住友ゴム工業,東洋ゴム工業の大手4社で生産全体の約9割を占める。 空気入りタイヤはイギリス人のJ.B.ダンロップが1887年に考案し,88年に特許をとった。…

※「ブリヂストン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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