ブリューソフ(読み)ぶりゅーそふ(英語表記)Валерий Яковлевич Брюсов/Valeriy Yakovlevich Bryusov

デジタル大辞泉 「ブリューソフ」の意味・読み・例文・類語

ブリューソフ(Valeriy Yakovlevich Bryusov)

[1873~1924]ソ連ロシア詩人批評家雑誌天秤座」を創刊し、ロシア象徴主義文学運動の指導者一人となる。ロシア革命後は新政権を支持し、文化関係の要職について啓蒙活動を行った。詩集傑作」「花冠」、小説「炎の天使」など。

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精選版 日本国語大辞典 「ブリューソフ」の意味・読み・例文・類語

ブリューソフ

  1. ( Valjerij Jakovljevič Brjusov バレリー=ヤコブレビチ━ ) ロシアの詩人、批評家。詩文集「ロシア象徴派」を出版、ロシア‐シンボリズムの先駆となる。高等文学専門学校を創立。詩集「第三の番兵」「花冠」など。(一八七三‐一九二四

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブリューソフ」の意味・わかりやすい解説

ブリューソフ
ぶりゅーそふ
Валерий Яковлевич Брюсов/Valeriy Yakovlevich Bryusov
(1873―1924)

ロシアの詩人、文芸学者。父方の祖父は農奴、母方の祖父は独学の詩人という家系の富裕な商人の家に生まれ、彼自身の言によれば、「唯物論と無神論の諸原則によって」家庭教育を受けたという。モスクワ大学歴史学科を1899年に卒業。ベルレーヌランボー、マラルメらの影響を受け、アンソロジー『ロシア・シンボリスト』三巻(1894~95)を出版、シンボリズムの先駆けとなった。初期の詩集『名詩編』(1895)、『これぞ われ』(1897)などで早くもウルバニズムやロマネスクなどの独自性を発揮し、詩集『第三の番兵』(1900)においては「大理石ブロンズの詩人」としての作風を樹立した。1904~09年にシンボリズムの機関誌となった『ベスイ(天秤(てんびん)座)』誌の実質的主幹として活躍、その1号にシンボリズム芸術論「神秘の鍵(かぎ)」を発表、同派の驍将(ぎょうしょう)となる。05年の革命が近づくにつれて現実に目を向け、詩集『町と世界に』(1903)の「石工」(1901)のような労働をたたえる詩を書く。十月革命前の彼の最高の詩集とされる『花冠』(1906)には、革命へのロマンチックな近接の気持ちもうかがえる。十月革命後、ブリューソフは躊躇(ちゅうちょ)のすえ、革命が文化遺産を擁護すると信じて、1919年共産党に入った。そして文学理論の研究に大きな役割を果たし、後輩の教育にあたり、高等文学専門学校を創設した。

 革命後の詩集には『最後の希求』(1920)、『かくなる日々に』(1921)、『瞬間』(1922)、『彼方(かなた)』(1922)、『急げ!』(1924)などがある。しかし革命後の詩作品は形式重厚で、あまり成功していないといわれる。なおシンボリズム時代の散文作品に、16章からなる歴史物語『炎の天使』(1907)、短編集『地軸』(1911)などがある。その一編『南十字星共和国』は今日の文明社会の危機を予言するものである。そのほか、評論、劇作、翻訳など、多面的な文学活動によって、彼は、革命期の最大の知識人として、ゴーリキー、ルナチャルスキーたちから高く評価されている。

[草鹿外吉]

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改訂新版 世界大百科事典 「ブリューソフ」の意味・わかりやすい解説

ブリューソフ
Valerii Yakovlevich Bryusov
生没年:1873-1924

ロシア象徴派の指導者の一人で,同派の代表的詩人,小説家,理論家。商人の家に生まれ,無神論的な環境に育つ。フランス象徴詩から啓示を受け,1893年に詩文集《ロシア象徴派》を出版し,ロシアで初めて象徴主義者を自称した。1904年にはロシア象徴派最大の雑誌《天秤(てんびん)Vesy》を創刊し,以後,同派が衰退するまで,その中心にいつづけ,ベールイ,ブロークを育て,さらには未来派を育成した。代表的詩集には《都市と世界に》(1903),《花冠》(1906)などがある。いわゆる天性の詩人ではなかったが,驚異的な学識と方法論的探求によって,ロシア詩の革新に貢献した。小説作品では二つの長編歴史小説,《炎の天使》(1907-08),《勝利の祭壇》(1911-12)が名高い。彼はボリシェビキ革命を積極的に受け入れ,その文化政策に協力したが,これは日和見主義的自己保身というより,むしろ彼の理性崇拝の当然の帰結というべきである。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブリューソフ」の意味・わかりやすい解説

ブリューソフ
Bryusov, Valerii Yakovlevich

[生]1873.12.13. モスクワ
[没]1924.10.9. モスクワ
ロシアの詩人,評論家。豪商の家に生れ,自由主義的な環境のなかで成長し,モスクワ大学在学中に『ロシアの象徴主義者たち』 Russkie simvolisty (1894~95) と題する文集を3冊発行し,ロシアにおける象徴主義運動の出発点を築いた。『傑作』 Chefs d'Oeuvre (95) ,『それは私だ』 Me eum esse (97) ,『第3の番人』 Tertia Vigilia (1900) などの詩集を発表するほか,批評活動も旺盛に展開,ロシア象徴主義の理論的指導者としての役割を果した。

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