改訂新版 世界大百科事典 「ベラルーシ語」の意味・わかりやすい解説
ベラルーシ語 (ベラルーシご)
Belaruskaya mova[ベラルーシ]
Byelorussian
ベラルーシ共和国の基本住民をなすベラルーシ人の言語。かつて国・民族・言語とも白ロシアとよばれたが,1950年代以降ベロルシアとする慣行が国際的に確立したが,ソ連解体とベラルーシ独立によりこう呼ばれるようになった。旧ソ連領内でこれを母語とする人口は約1000万(1989)であるが,海外に100万程度のベラルーシ語人口が見こまれている。ロシア語,ウクライナ語とともにスラブ語派中の東スラブ語のグループを形成するが,その分化・発達は15世紀以降のことで,それまでこの3者は古ロシア語として一体性を保っていた。初期のベラルーシ語は15世紀中ごろに文章語として確立し,やがてリトアニア大公国の公用語となり多くの文献を残したが,16世紀末にポーランドと合同して以後は公用語の地位を失い,しかも1696年からは口頭以外の使用を禁じられるにいたった。1795年ロシア帝国に併合後ベラルーシ語による民話や文学作品が出版されはじめるが,文章語としての発達は20世紀初頭のYa.クパーラらの詩作品に発し,また,民族語としての諸規範は1917年の十月革命以後に確立されたものである。現代のベラルーシ語はアルファベットをはじめ全体としてロシア語にきわめて近い特徴を示すが,音韻と語彙の一部はウクライナ語およびポーランド語と共通している。主都ミンスクを含む中央部を東西に横断する中部方言が標準語で,ほかに北東方言,南東方言および西部のポレシエ方言を区別する。
執筆者:佐藤 純一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報