改訂新版 世界大百科事典 「ベンハー」の意味・わかりやすい解説
ベン・ハー
Ben Hur
アメリカの弁護士・政治家・作家のウォーレスLew(is)Wallace(1827-1905)作の小説。1880年刊。イエスの時代のベツレヘムでのこと,ユダヤの若い貴族のベン・ハーが要人殺害計画のぬれぎぬを着せられてガレー船に送り込まれたり,友人と思い込んでいた男の計略にのせられるが危うく難を逃れるなど,数奇な運命ののち初めて,イエスの存在を信じるようになる,という物語。出版と同時に英米で爆発的な売行きを見せ,数ヵ国で翻訳が出版された。小説の出版から20年近くたってヤングWilliam Youngがこれを劇化(1899),またも画期的ロングランとなった。さらに20世紀に入って1926年,400万ドルという記録的な費用をかけて映画化(監督ニブロFred Niblo)され,ベン・ハーが友人の謀略の中で壮絶な馬車レースを展開する場面に観客はかたずを飲んだ。59年の2度目の映画化(監督W. ワイラー)では,馬車レースの場面をさらに壮大なスペクタクルに仕立て上げて観客を動員した。
執筆者:後藤 昭次
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報