ドイツの細菌学者。プロシアのハンスドルフ(現、ポーランド)生まれ。1874年ベルリンの陸軍軍医学校に入り、1878年学位を取得。軍務に従ったのち、1888年陸軍医学校教官、翌1889年ベルリン大学のコッホの研究室の助手となる。同じ研究室の北里柴三郎(きたさとしばさぶろう)と共同して破傷風菌の純培養、ついで破傷風抗毒素血清の単離に成功(1890)、さらにジフテリアの血清療法についても発表した。この血清療法は免疫学の発展に大きく貢献するものであり、その業績に対し1901年第1回ノーベル医学生理学賞が授与された。1891年コッホとともに伝染病研究所に移り、1894年ハレ大学、翌1895年マールブルク大学の教授となった。
[藤野恒三郎]
デンマーク生まれのロシアの探検家、航海家。1703年ロシアに海軍将校として招かれ、25年第一次カムチャツカ探検隊長に任命された。探検隊の主要目的は、アジア(シベリア)とアメリカとが陸続きであるかどうかを確かめることにあった。ベーリング隊は、カムチャツカ半島東岸を北上し、28年8月15日、北緯67度18分、西経167度の地点に達し、両大陸の間に海峡が存在することを確信した。海峡はのちに彼の名にちなんでベーリング海峡とよばれる。彼は、33年ふたたび第二次カムチャツカ探検隊長に任命された。シベリアを横断し、カムチャツカから北アメリカ沿岸に達して、アリューシャン(アレウト)列島の一部を発見した。その帰途に、のちにベーリング島と名づけられた島で越冬中、病死した。
[栗生沢猛夫]
デンマーク生れのロシアの探検家,航海家。1703年以後,ピョートル1世治下のロシア艦隊に勤務し,24年大尉として分遣艦隊司令に任命された。25年アジア大陸とアメリカ大陸の間の海峡(今のベーリング海峡)有無の確認を目的とする第1次カムチャツカ探検(1725-30)の隊長をつとめた。その結果が不十分であるとして,33年第2次カムチャツカ探検隊が編成され,その長を命ぜられた。多くの専門家を動員した大規模なもので,シベリア,北氷洋岸,北太平洋の調査と,日本への航路の探検が進められた。41年7月17日,ベーリングの乗船した聖ピョートル号はアラスカの海岸に到着,またアレウト列島の一部を発見した。帰途,無人島(今のベーリング島)で越冬中病没した。
→シベリア探検
執筆者:加藤 九祚
ドイツの細菌学者。血清療法の創始者として有名。ハンスドルフ(現,ポーランド)に生まれ,ベルリン大学で医学を学ぶ。卒業後,陸軍軍医となり,1888年にはベルリンの軍医学校教官となったが,翌年,ベルリン大学衛生学研究室に移り,R.コッホの助手となって細菌学の研究に従事。北里柴三郎とともに,ラットを用いて,ジフテリアと破傷風抗毒素血清の単離,同定に成功した。この業績はその後の免疫学に大きな影響を与え,これにより1901年ベーリングはノーベル医学・生理学賞を授与された。1891年ベルリンに伝染病研究所が新設されると,コッホに従ってここに移り,その後,ハレ大学衛生学教授,マールブルク大学教授を歴任した。
執筆者:川口 啓明
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1681~1741
デンマーク生まれのロシアの探検家。ピョートル1世の知遇を得てロシア海軍に勤務し,2回にわたるカムチャツカの探検を行い,1728年にはベーリング海峡を発見した。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報
…太平洋とベーリング海の間にある諸島。カムチャツカ半島の東方約200kmにあり,ロシア連邦カムチャツカ州に属する。…
…1883年E.クレブスとF.A.J.レフラーがジフテリア菌を発見,90年には同門の北里柴三郎は菌から毒性成分を分離した。彼はさらにベーリングとともに,これを動物に少量ずつ注射して,かなりの量にも耐えられるようになったところで,その動物の血清がジフテリアにかかった動物を回復させる能力のあることを発見(1893),同様な方法で,2人は破傷風についても治療血清をつくりだした。フランスのL.パスツールは,細菌学の知識を利用して醸造業の能率向上,畜産獣医学方面での防疫法をつぎつぎと開発,人間においても狂犬病ワクチンの開発に成功した(1885)。…
…北アメリカ大陸北西端にあり,48州とは離れており,その結果,合衆国は典型的な飛地国を形成する。ベーリング海峡とアレウト列島西部でロシアに対する。地形は全体に山がちで,アラスカ湾に面した南部から南東部にかけてアラスカ山脈,コースト・レーンジズ(海岸山脈)が走り,山岳氷河がよく発達している。…
…太平洋とベーリング海の間にある諸島。カムチャツカ半島の東方約200kmにあり,ロシア連邦カムチャツカ州に属する。…
※「ベーリング」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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