ペレス・ガルドス(読み)ペレスガルドス

百科事典マイペディア 「ペレス・ガルドス」の意味・わかりやすい解説

ペレス・ガルドス

19世紀スペイン最大の小説家,劇作家ジャーナリストを経た後,《黄金の泉》(1868年)で文壇にデビュー。以後50年以上にわたり膨大な作品を残した。19世紀スペインを小説に描き尽くそうとした彼の業績は,トラファルガーの海戦から王政復古に至るまでの19世紀スペインの歴史を描いた《国民挿話》と,スペイン社会の様々な問題をマドリードの庶民生活を題材に描いた《スペイン現代小説集》の二つに集約される。前者は46冊の小説からなり,中でも《トラファルガル》(1873年)と《ヘローナ》(1874年)が傑出している。一方後者は20冊余りの小説からなり,宗教的不寛容がもたらす悲劇を描いた《ドニャ・ペルフェクタ》(1876年)や階級的葛藤を写実的に描いた《フォルトゥナータとハシンタ》(1887年)などがその代表作である。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ペレス・ガルドス」の意味・わかりやすい解説

ペレス・ガルドス
Pérez Galdós, Benito

[生]1843.5.10. カナリア諸島ラスパルマス
[没]1920.1.4. マドリード
スペインの小説家,劇作家。 1862年にマドリードに出て法律を学んだが,大学を中退,宗教的非寛容に反対し,政治的自由主義を主張して評論家として活躍。トラファルガル海戦からフェルナンド7世の死までを扱った歴史小説『国史挿話』 Episodios nacionales (1873~79) を発表し,またフランス自然主義の影響を受けた小説や,社会問題を扱った戯曲を書いた。 1912年に失明し,失意のうちに死んだ。小説に『フォルトゥナータとハシンタ』 Fortunata y Jacinta (86~87) ,『アンヘル・ゲラ』 Angel Guerra (90~91) など。

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