ホオズキガイ(読み)ほおずきがい(英語表記)lamp shell

日本大百科全書(ニッポニカ)「ホオズキガイ」の解説

ホオズキガイ
ほおずきがい / 酸漿貝
lamp shell

触手動物門腕足綱有関節亜綱の海産動物総称。海底の岩などに付着してすみ、群れをなしていることが多い。膨らんだ2枚のに包まれた形と、その根元から肉茎とよばれる柄が出て、他物に付着するようすをホオズキの実に見立ててこの名がついている。外見上から軟体動物の二枚とよく間違われるが、2枚の殻は背腹に位置し、また互いに形が異なっているので区別がつく。英名の由来は、片方の殻の根元部分がくちばし状に伸び、そこに肉茎の出る穴が開いているようすを、『千夜一夜物語』に出てくるランプに見立てたものである。

 殻の内部には広い腔(こう)があり、そこに複雑な螺旋(らせん)状に巻いた触手冠が収まっている。ほんのすこし開いた殻のすきまから腔内へ海水を吸い込み、海水中の栄養粒子を触手に生えた繊毛で漉(こ)し取って食べる。肛門(こうもん)をもたず、消化管は盲嚢(もうのう)に終わる。古生代カンブリア紀に出現した古い動物群で、世界各地から多数の化石が得られている。

 現生種は世界で250種、日本からは数十種が知られている。殻が赤色で長さ3センチメートルほどのホオズキチョウチンLaqueus rubellusは、日本各地の水深40~500メートルほどのやや深い海底にすみ、また関東や東北地方からは新生代の化石としても産出する。殻長5センチメートルほどになる大形種カメホオズキチョウチンTerebratalia coreanicaも、殻は赤色を帯び、日本各地の300メートル以浅の沿岸でとれる。

[馬渡峻輔]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア「ホオズキガイ」の解説

ホオズキガイ

腕足綱有関節亜綱に属する触手動物の総称。体が軟らかく,丈夫な石灰質の殻でおおわれる点で軟体動物の二枚貝類に似るが,殻は背腹にある(二枚貝では左右)。殻長10〜50mm。この2枚の殻の形が植物のホオズキの実に似ているのでこの名がある。柄部は殻外に出て,岩石や他動物に付着。古生代の中期に最も繁栄し,現生種も外観はほとんど変わらないので生きている化石といわれる。世界各地に産し日本にはホオズキチョウチン,コカメガイなど70種ほどが知られる。
→関連項目腕足類

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