精選版 日本国語大辞典 「ポップアート」の意味・読み・例文・類語
ポップ‐アート
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
1960年代前半,おもにニューヨークを中心に展開した,戦後美術の大きな運動のひとつ。マス・メディアによるマス・コミュニケーションを特色とする大衆消費情報社会は,60年代に高揚期を迎えたが,一群の美術家たちは,広告デザイン,量産品,写真,テレビの映像などを主題とし,制作方法もシルクスクリーンなどのマス・メディアの方法を援用して,大衆社会の〈イコン〉をあっけらかんと華麗に表出し,ポップ・アートの全盛期を築きあげた。もっとも,先駆的な現象は,1950年代のロンドンの若い美術家たちの活動にすでに見られた。ハミルトンRichard Hamilton(1922- ),パオロッツィEduardo Paolozzi(1924- ),ピーター・スミッソンらは,早くから,ポップ・ミュージックやアメリカ映画やサイバネティックスやファッションやSFなど,大衆社会の新しいサブカルチャーに注目し,研究会や展覧会を開いたのである。ポップ・アートという名称も,ハミルトンの写真コラージュの作品に,ボディビルの男が手にした巨大なキャンディに〈POP〉という字が大きく書かれていたことから生まれたといわれる。また,この派の批評家アロウェーLawrence Alloway(1920- )が60年代にニューヨークに移住し,一群のアメリカ作家の作品を総称して,〈ポップ・アート〉と呼んだことで,この名称が定着したともいう。ニューヨークのポップ・アートは,1940年代後半から50年代にかけてニューヨークで爛熟した抽象表現主義へのアンチ・テーゼとして生まれたとも見られる。抽象表現主義の超越的な精神主義に対して,ポップ・アートは卑俗・日常的なマス・メディア的大衆性を強調したわけであり,両者の分水嶺の位置を占めるのが,R.ラウシェンバーグとJ.ジョーンズである。漫画を印刷の網目ごと拡大したようなR.リクテンスタイン,モンローやコカ・コーラの像を繰り返し並べたA.ウォーホル,巨大広告を転用したローゼンクイストJames Rosenquist(1933- ),布製の巨大なハンバーガーやアイスクリーム・コーンを作ったC.オルデンバーグ,女性のヌードやスーパーマーケットの食品をけばけばしく描いたトム・ウェッセルマンTom Wesselmann(1931- )など,そこには戦後のアメリカ文化のけばけばしさが芸術の領域になだれ込んでいる。
執筆者:東野 芳明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
(山盛英司 朝日新聞記者 / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
…これには激しい動きを画面に投入したアクション・ペインティングの一派(J.ポロック,W.デ・クーニング,クラインFranz Kline(1910‐62)ら)と,平面的な色面によるカラー・フィールド・ペインティングColor‐Field Paintingの流れ(M.ロスコ,ニューマンBarnett Newman(1905‐70),スティルClyfford Still(1904‐80),ラインハートAd Reinhardt(1913‐67)ら)があり,両者とも巨大なキャンバスをいっぱいに使った衝撃的な絵画を創造した。 40年代後半から50年代半ばごろまでが抽象表現主義絵画の全盛期だったが,クライン,ポロックの相つぐ死去および抽象表現主義絵画そのものが抱えていた問題によって50年代末から崩壊し,代わってポップ・アートと新抽象(ポスト・ペインタリー・アブストラクションPost‐Painterly Abstraction)の二つが現れる。個人的な主観主義の袋小路に入りこんだ抽象表現派の行きづまりを批判的に乗り越えようとしたのがこの世代で,彼らは抽象表現派が一時的に結びつけたシュルレアリスムとキュビスムを元の姿に解体し,そのうえで時代に対応する新しい方向をさぐった。…
…特にF.ベーコンは現代の不安や恐怖,悲劇を独特のデフォルメと色彩によって表現し,現代イギリスの最も注目すべき画家の一人となった。戦後のイギリスはまたアメリカに先んじて1955年ころからポップ・アートを生み出した。その代表的作家にはハミルトンRichard Hamilton(1922‐ ),ブレークPeter Blake(1932‐ ),パオロッツィEduardo Paolozzi(1924‐ ),ジョーンズAllen Jones(1937‐ ),ホックニーDavid Hockney(1937‐ )らがいる。…
※「ポップアート」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
3/11 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
2/13 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
1/12 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
12/11 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/10 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新