ポリアセタール(読み)ぽりあせたーる(英語表記)polyacetal

デジタル大辞泉 「ポリアセタール」の意味・読み・例文・類語

ポリアセタール(polyacetal)

アセタール結合-OCR2O-(Rはアルキル基)をもつ重合体総称アルデヒド類の重合によって得られ、ポリオキシメチレンなどがあり、アセタール樹脂主成分エンジニアリングプラスチックとして用いられる。

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精選版 日本国語大辞典 「ポリアセタール」の意味・読み・例文・類語

ポリ‐アセタール

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] polyacetal ) アセタール結合 -OC R2O- (Rはアルキル基)をもつ重合体の総称。アルデヒド類の重合によって得られ、ポリオキシメチレンなどがあり、アセタール樹脂の主成分。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ポリアセタール」の意味・わかりやすい解説

ポリアセタール
ぽりあせたーる
polyacetal

アセタール結合をもつ重合体(ぽりまー)の総称。アセタール結合-O-CH2-Oを主鎖にもつホモポリマー単独重合体)とCH2-OCH2(CH2)O-の結合との共重合物(コポリマー)に分けられる。これらを主成分とするものがアセタール樹脂である。ポリアセタールは、金属を代替するエンジニアリングプラスチックとして注目されている。機械的強度耐熱性においては、ホモポリマーはコポリマーより高いが、熱安定性が悪く、成形時に注意が必要である。一般に、ポリマーの末端アセチル化して、熱安定性を向上させている。

 両タイプに共通する特徴は、摺動(しゅうどう)(すべり摩擦)性と耐摩耗性で、ギアなど摺動部品(二つの部品が相対運動することを「摺動」といい、そういった部分を「摺動部」という)の基準材料となっている。欠点としては、耐熱性が低い(熱変形温度100~136℃)ことと、難燃性を付与できないことなどである。

垣内 弘]

『片岡俊郎ほか著『エンジニアリングプラスチック』(1987・共立出版)』『井上隆編著『ポリマーアロイ活用ノート――材料選択・設計の指針』(1992・工業調査会)』『高野菊雄編『ポリアセタール樹脂ハンドブック』(1992・日刊工業新聞社)』

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改訂新版 世界大百科事典 「ポリアセタール」の意味・わかりやすい解説

ポリアセタール
polyacetal

ホルムアルデヒドまたは環状ホルムアルデヒド化合物の重合によって得られる高分子の総称。1930年ころドイツのH.シュタウディンガーは,ホルムアルデヒドが重合し,ポリアセタールをつくることを認めたが,熱安定性が悪く,実用性はなかった。その後アメリカのデュポン社が熱安定性の向上にとりくみ,ポリアセタールの末端をアセチル化することにより,これに成功し,56年にデルリンの商品名で工業化した。また同じくアメリカのセラニーズ社では,ホルムアルデヒドの環状三量体であるトリオキサンが開環重合することを見いだし,これに少量のエチレンオキシドを共重合させて,共重合ポリアセタールの合成に成功,60年にセルコンCelconの商品名で工業化した(日本での商品名はジュラコン)。

 ポリアセタールは,結晶化が速いため成形速度が非常に速く,射出成形が容易で,また機械的性質,耐熱性にすぐれている。このため,機械部品,電気部品,自動車部品など成形品として多用され,金属を代替するエンジニアリングプラスチック代表として知られている。歯車,ファン,エーロゾル用バルブ,戸車,その他日用品など目につくものが多い。寸法精度も高いため,精密成形品としても使用できる。

 ホルムアルデヒドを脱水,精製し,99.9%の高純度にし,-15℃の炭化水素溶媒中で,トリフェニルホスフィンとジフェニルイミンあるいはトリブチルアミンを触媒として重合するか,精製トリオキサンをフッ化ホウ素,塩化アルミニウムなどを触媒として重合して得られる。

 重合度は1000~3000。ほとんど射出成形で成形され,成形温度は180~250℃である。ガラス繊維で補強されることもある。製品は乳白色で,軟化点110~125℃。強度,弾性率,耐クリープ性,耐摩耗性,強酸を除く耐薬品性にすぐれている。ポリアセタールのホモポリマーおよびコポリマーのおもな物性は表に示すとおりである。
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化学辞典 第2版 「ポリアセタール」の解説

ポリアセタール
ポリアセタール
polyacetal

分子中に図のような結合をもつ重合体.もっとも簡単な単独重合体は,ホルムアルデヒドのアニオン重合により得られるが,重合体末端が不安定なヘミアセタール構造をもち,この末端から,ジッパー式にもとのホルムアルデヒドに分解するため,熱やアルカリに弱い.

末端をアセチル化処理したものは安定になる([別用語参照]ポリ(オキシメチレン)).トリオキサン1,3-ジオキソラン,あるいはエチレンオキシドとをカチオン開環重合させた共重合体は,末端ヘミアセタールからの分解が起こっても,ジオキソランあるいはエチレンオキシド単位の部分で分解が止まり,安定な重合体となる.アセトアルデヒドを原料とするもの(R:CH3)もあるが,まだ実用化できるほどのものは得られていない.[CAS 9002-81-7]

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百科事典マイペディア 「ポリアセタール」の意味・わかりやすい解説

ポリアセタール

ホルムアルデヒドまたはトリオキサンなどの環状ホルムアルデヒド化合物を重合させて得られる熱可塑性樹脂。1956年米国のデュポン社が工業化(商品名デルリン)。半透明で,耐熱性,耐摩耗性にすぐれる。家庭用品,歯車,軸受,コンベヤ部品などに使用。金属の代りをするエンジニアリングプラスチックの代表。
→関連項目プラスチック工業

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世界大百科事典(旧版)内のポリアセタールの言及

【エンジニアリングプラスチック】より

…エンプラと略称されることもある。代表的なものとしては,ポリアセタールポリアミド(ナイロン),ポリエステル(PBT),ポリカーボネート,変性PPO(商品名ノリル)があり,汎用エンジニアリングプラスチック(汎用エンプラ)と呼ばれる。エポキシ樹脂,シリコーン樹脂のような熱硬化性樹脂,より耐熱性の高いポリアリレート,PPS,ポリイミド樹脂なども含まれる。…

【ガス化学工業】より

…メーカーには,三井東圧化学,三菱瓦斯(ガス)化学,信越化学工業,日産化学工業,日本化成,協和ガス化学工業,コープケミカル,東洋ガス化学工業などがある。ガス化学工業の主要な前記3製品のうち,まずメタノールはその大半がホルムアルデヒドになり,ホルムアルデヒドは,ユリア樹脂(尿素樹脂),メラミン樹脂(接着剤や化粧板等の原料)などや,ポリアセタール(エンジニアリングプラスチック,いわゆるエンプラ)などの原料である。アンモニアは,尿素,硫安などの窒素肥料や,ナイロン,アクリルなどの合成繊維の原料をつくるのに使われる。…

※「ポリアセタール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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