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ポリツァー Politzer,H.David

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ポリツァー
Politzer,H.David

[生]1949.8.31. ニューヨーク,ニューヨーク
アメリカの物理学者。 1969年ミシガン大学卒業後,1974年ハーバード大学で物理学の博士号取得。 1975年からカリフォルニア工科大学に勤務し,1979年から教授を務める。物質を構成している最小の素粒子クォーク間に働く「強い相互作用」は,クォーク間の距離が離れるほど強くなり,近づくほど弱くなって「漸近的自由」と呼ばれる状態になる。ハーバード大学の大学院生だった 1973年,ポリツァーは数学の枠組みを使って漸近的自由を理論的に解明した。これはのちの量子色力学の標準理論となった。 2004年,同じ理論を導き出したデビッド・J.グロス,フランク・ウィルチェックとともにノーベル物理学賞を受賞。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ポリツァー
ぽりつぁー
H. David Politzer
(1949― )

アメリカの理論物理学者。ハーバード大学で物理学博士号を取得。同大研究員などを経て、1979年からカリフォルニア工科大学物理学科教授。
 1973年グロス、ウィルチェックと共同で、クォーク間には相互作用が関与しており、ある距離以上に離れようとすると強い作用が働くことを理論的に説明した。この理論によって、陽子や中性子からクォークを単独で取り出すことがきわめてむずかしいことがわかり、素粒子物理学の発展に大きく貢献した。さらにこの理論は、クォーク間に働いている強い相互作用に関する「量子色力学」という学問を発展させ、標準理論の一つの柱になった。この功績によりポリツァーはグロス、ウィルチェックとともに2004年のノーベル物理学賞を受賞した。
 受賞に関するノーベル財団の解説資料では、シカゴ大学の名誉教授南部陽一郎の貢献に言及している。南部は1960年代の中ごろ、超伝導理論で使われている「自発的対象性の破れ」という概念を素粒子理論に導入した。この南部説に基づいた方程式を使って、クォークが離れるほど相互作用が強く働くことを示す数式を確立したことに触れたもので、ポリツァーらの業績は南部の先駆的成果があって初めて成し遂げられたものである。[馬場錬成]

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