ポリビニルアルコール(その他表記)polyvinyl alcohol

デジタル大辞泉 「ポリビニルアルコール」の意味・読み・例文・類語

ポリビニル‐アルコール(polyvinyl alcohol)

ポリ酢酸ビニル鹸化けんかして得られる無色粉末水溶性熱可塑性樹脂。水溶性の包装材料接着剤乳化剤などに用い、合成繊維ビニロン原料ポバールPVA

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精選版 日本国語大辞典 「ポリビニルアルコール」の意味・読み・例文・類語

ポリビニル‐アルコール

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] polyvinyl alcohol ) ビニルアルコール分子の繰り返しの型をもつ重合体。水に徐々に溶けるがホルムアルデヒドで処理すると耐水性が得られ、ビニロンとして市販される。また、このままで、糊、塗料、接着剤、水溶性フィルムとしても用いる。

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改訂新版 世界大百科事典 「ポリビニルアルコール」の意味・わかりやすい解説

ポリビニルアルコール
polyvinyl alcohol

ポバールpoval,PVAとも呼ばれる。ビニルアルコールの重合物に相当する高分子化合物であるが,ビニルアルコールは不安定で,実際には存在しえないため,ポリ酢酸ビニル加水分解して,ポリビニルアルコールを製造する。

 一般にはポリ酢酸ビニルのメチルアルコール溶液に苛性アルカリのメチルアルコール溶液を加え,50~60℃に加温し,加水分解する。ポリビニルアルコールは水以外には溶けない粉末であり,沈殿として析出する。強い接着力があり,織物用糊剤,紙のサイズ剤,乳化剤などに用いられる。フィルムは強靱(きようじん)でガスバリヤー性(気体を透過させない性質)が高い。ポリビニルアルコールの10~15%水溶液を硫酸ナトリウムの飽和溶液中に紡糸し,得られたポリビニルアルコール繊維をホルマール化したものが合成繊維ビニロンである。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ポリビニルアルコール」の意味・わかりやすい解説

ポリビニルアルコール
ぽりびにるあるこーる
polyvinyl alcohol

水溶性プラスチックの一種。ポバールpovalともよばれ、PVAと略称される。ポリ酢酸ビニルのメタノール(メチルアルコール)溶液にカ性ソーダのメタノール溶液を加えて加温すると、白い沈殿として生成する。

 PVAは、水以外の普通の有機溶媒には不溶の白色粉末。140℃ぐらいまで安定である。織物の糊(のり)、紙のサイジングなどや乳化安定剤などに用いられる。水以外の溶媒には溶けないので油に触れる部分の包装材料、オイルタンクの内張りなどの特殊な用途がある。病院などの洗濯物回収袋で水に溶けるものはこのフィルムである。PVAの15%ぐらいの水溶液を細孔から引き出し、硫酸ナトリウムの飽和水溶液中に押し出して糸にしたものをホルマリン(ホルムアルデヒド37%水溶液)でアセタール化したものが合成繊維のビニロンである。

[垣内 弘]

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百科事典マイペディア 「ポリビニルアルコール」の意味・わかりやすい解説

ポリビニルアルコール

ポバールとも。ビニルアルコールの重合物に相当する高分子化合物。一般には酢酸ビニルを苛性アルカリで加水分解して得る。無色透明。直接には水溶性フィルム,織物仕上用糊料,接着剤,乳化剤などに用いられるが,多くは合成繊維ビニロンの原料とされる。
→関連項目合成繊維酢酸ビニル樹脂

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知恵蔵mini 「ポリビニルアルコール」の解説

ポリビニルアルコール

合成樹脂の一種。「ポバール」とも呼ばれる。水溶性、乳化性、造膜性、接着性、耐油性、耐薬品性などに優れ、合成繊維「ビニロン」やプラスチックフィルム「ポバールフィルム」の原料、繊維加工(糊)剤、紙加工剤、接着剤などに広く利用されている。1924年にドイツで発明され、日本で量産化技術が確立された。2020年には東京工業大学の研究グループが放射線治療で同樹脂を薬剤に混ぜると治療効果の向上につながる可能性があることを発見し、注目を集めている。

(2020-1-27)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ポリビニルアルコール」の意味・わかりやすい解説

ポリビニルアルコール
polyvinyl alcohol

ポリ酢酸ビニルを酸またはアルカリで加水分解することにより得られる,水酸基を有する水溶性の重合体である。ポバールとも呼ばれる。ビニロンは,ポリビニルアルコールを紡糸したあと,ホルマリンを作用させて耐水性を向上させたものであり,1939年に日本で発明された合成繊維である。ポリビニルアルコールはビニロンの原料としてのほか,糊剤,接着剤などとして用いられている。

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栄養・生化学辞典 「ポリビニルアルコール」の解説

ポリビニルアルコール

 構造上ビニルアルコール(図)の重合体であるがビニルアルコールは単離できない.繊維,塗料,乳化剤などに使われる.

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デジタル大辞泉プラス 「ポリビニルアルコール」の解説

ポリビニルアルコール

合成樹脂。水溶性が高い。薬剤では点眼薬などに含有。

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世界大百科事典(旧版)内のポリビニルアルコールの言及

【化学繊維】より

… ハイバルク・アクリル繊維 高度に延伸したアクリルと未延伸アクリルを混ぜて紡いだ糸を湯につけて,延伸アクリルだけを収縮させて作ったかさ高い糸であり,セーター用に好まれる。
[ポリビニルアルコール系]
 ビニロンVinylon(商標)は日本で開発された繊維である。1939年に京都大学の桜田一郎らにより発明された。…

※「ポリビニルアルコール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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