マイトネリウム(読み)まいとねりうむ(その他表記)meitnerium

デジタル大辞泉 「マイトネリウム」の意味・読み・例文・類語

マイトネリウム(meitnerium)

9族に属する人工放射性元素。1982年、ドイツダルムシュタットの重イオン研究所(GSI)のグループ58Fe と209Bi の融合反応により266Mtを生成した。他にアルファ崩壊系列中に質量数268の同位体が確認されている。オーストリアの物理学者リーゼ=マイトナーの名にちなむ。元素記号Mt 原子番号109。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マイトネリウム」の意味・わかりやすい解説

マイトネリウム
まいとねりうむ
meitnerium

周期表第9族に属する人工元素の一つ。原子番号109の元素。1982年ドイツのダルムシュタット重イオン研究所のミュンツェンベルクGottfried Münzenberg(1940―2024)らは、ビスマス209(209Bi)に鉄58(58Fe)を衝突させ、267109(質量数267の109番元素)を経て266109を得た。266109は半減期5ms(ミリ秒)でα(アルファ)崩壊する。国際純正・応用化学連合IUPAC:International Union of Pure and Applied Chemistry)と国際純粋・応用物理連合(IUPAP:International Union of Pure and Applied Physics)は1994年の暫定を経て1997年元素名をマイトネリウム、元素記号Mtと決定した。命名は、オーストリア生まれのスウェーデンの女性物理学者で核分裂の研究に貢献したマイトナーにちなむ。

[中原勝儼]



マイトネリウム(データノート)
まいとねりうむでーたのーと

マイトネリウム
 元素記号  Mt
 原子番号  109
 原子量   (268)
 融点    ―
 沸点    ―
※括弧内の数値は原子量ではなく、同位体質量数の一例

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化学辞典 第2版 「マイトネリウム」の解説

マイトネリウム
マイトネリウム
meitnerium

Mt.原子番号109の元素.電子配置[Rn]5f 146d77s2(推定)の周期表9族元素.周期表でイリジウムの下に位置する(エカイリジウム).短寿命人工元素.質量数265~279の同位体核種がつくられている.268の同位体がもっとも長寿命で半減期21 ms.1982年8月,ドイツ・ダルムシュタットの重イオン研究所(GSI)で,209Bi を標的として 58Fe で衝撃して半減期1.7 ms でα崩壊する 266Mt 1原子が得られた.α崩壊を2回繰り返して 258Db になる.室温固体銀白色または灰色の金属とされる.命名はO. Hahn(ハーン)の共同研究者で,4回もノーベル賞候補にあげられたオーストリアの女性化学者L. Meitner(マイトナー)にちなむ.[CAS 54038-01-6]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マイトネリウム」の意味・わかりやすい解説

マイトネリウム
meitnerium

人工元素の一つ。元素記号 Mt。原子番号 109。1982年ドイツのダルムシュタットにある重イオン研究所 GSIのゴットフリート・ミュンツェンベルクらは,ビスマス209に鉄58を衝突させ,質量数 267の 109番元素を経て質量数 266の 109番元素を得た。国際純正・応用化学連合 IUPACと国際純粋・応用物理学連合 IUPAPは 1997年,元素名をマイトネリウム,元素記号を Mtとした。名前はオーストリア生まれのスウェーデンの女性物理学者リーゼ・マイトナーにちなむ。

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百科事典マイペディア 「マイトネリウム」の意味・わかりやすい解説

マイトネリウム

元素記号Mt。原子番号109。人工元素の1つ。1982年ドイツのダルムシュタット重イオン研究所のミュンツェンベルクらは,(209/)Biに(58/)Feを衝突させ,質量数267の109番元素を経て質量数266の109番元素を得た。(266/)Mtは半減期5msでα崩壊する。国際純正・応用化学連合(IUPAC)と国際純粋・応用物理学連合(IUPAP)は1994年の暫定を経て1997年元素名をマイトネリウム,元素記号Mtと決定。名称はオーストリア出身のスウェーデンの女性物理学者で核分裂の研究に貢献したマイトナーにちなむ。

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