マイナス金利(2016)(読み)まいなすきんり(にせんじゅうろく)

知恵蔵の解説

マイナス金利(2016)

日本銀行(日銀)が、2016年2月に導入した「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」政策。民間の金融機関は準備預金として、一定額を日銀の「当座預金」に預けることが法律で義務付けられている。これまで日銀は預け入れ分にプラスの金利を付け、金融機関もこの貸し倒れのない金利を安定した収益源にしてきた。しかし、黒田東彦総裁に就任(13年3月)して以来、異次元の質的・量的緩和を続けてきた日銀は、「当座預金」への新規預け入れ分の一部に0.1%のマイナス金利を適用。スイスを始め欧州の一部の国で導入されているが、日本の中央銀行の金融政策としては初めてのことだった。
マイナス金利政策は民間銀行の融資拡大を促すことが狙いで、一定の効果は上げた。16年4~9月期の民間銀行(139行)の融資総額は前年比16%の伸びを示し、とりわけ不動産業界への融資額は過去最高の水準となった。しかし、消費は冷え込んだままで、2%の「物価安定の目標」(消費者物価指数2%)達成には程遠く、同時期の消費者物価指数は前年割れが続いた。加えて、貸出金利の低下による収益減で、民間金融機関の経営が圧迫されるという事態を招いた。
こうした状況下で、日銀は9月に「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入し、長期金利の操作にも乗り出す方針を表明した。具体的には、日銀が長期国債を買い入れ(増加額は年間約80兆円)、10年物国債の金利を0%に誘導するという「金利」重視の政策である。中央銀行が長期金利を操作するのも極めて異例で、効果を疑問視する声も多いが、日銀は「長年続いたデフレから人々のマインドを転換するためには、モメンタム(勢い)が必要」と量的・質的金融緩和を継続する考えを表明した。
2016

(大迫秀樹 フリー編集者/2016年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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