マイホーム主義(読み)マイホームシュギ

世界大百科事典 第2版の解説

マイホームしゅぎ【マイホーム主義】

広い意味では,1945年の敗戦以降20世紀後半の日本社会を国民的規模で席巻した,私生活を優先させる生活意識と生活様式の総体を指す。それは大正期の都市社会に萌芽的に現れた私的所有制に基づく小市民意識の単なる量的拡大現象ではない。戦後の社会過程に一貫して顕著な,〈滅私奉公〉に替わる〈滅公奉私〉つまり私生活優先と,〈封建的なもの〉の否定に伴う〈近代的なもの〉への志向性と,貧困を脱出する生産性増大への性向との三位一体が,広義のマイホーム主義の心性を養ってきた。

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大辞林 第三版の解説

マイホームしゅぎ【マイホーム主義】

自分の家庭・家族を何よりも大切にする生き方。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

マイホーム主義
まいほーむしゅぎ

マイホーム(住宅)、マイカー(自動車)、マイレジャー(余暇)など、資本主義社会における私的小所有によって基礎づけられた生活意識をいう。とくにわが国にあっては、「公」の領域の大きさとその支配力の強さという社会意識の伝統的な特徴のもとで、そのような「公」に対立し、そこからの相対的な意味での解放と距離化というベクトルをもって成立してきた点が重要である。マイホーム主義は、いわば私生活主義という社会意識の通俗形態であり、同時に、アメリカなどの先進資本主義国にみいだされるミーイズムme-ismという個人主義の意識とは異なって、「私」の生活世界のなかでの私的小所有にその根拠をもつところに特色がある。したがって、マイホーム主義とは、「私」と「公」の対立を背景として、前者の基軸に収斂(しゅうれん)しつつ、直接的には、私的小所有によって支えられた「家庭」や「家族」の価値に重心を置いた社会意識の一つの現象形態にほかならない。
 わが国では、大正期の都市文化のうちにその萌芽(ほうが)をみせ始め、とくに1960年代の「高度成長」期に対応する社会意識の一側面として定着してきた。一方では、生活防衛の契機を中心として住民運動や労働運動へと連帯していく可能性を有するが、他方、「中流意識」の価値的不安定を通じてファシズムへと吸収されていく危険もはらんでおり、この両義性は、その基礎としての私的小所有の不安定性と鋭く対応しあっている。[田中義久]
『H・ルフェーブル著、田中仁彦他訳『日常生活批判』(1970・現代思潮社) ▽田中義久著『私生活主義批判』(1974・筑摩書房) ▽石川晃弘他著『みせかけの中流階級』(1982・有斐閣)』

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精選版 日本国語大辞典の解説

マイホーム‐しゅぎ【マイホーム主義】

〘名〙 家庭生活のことを中心に考えて、行動するような生き方

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