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マカーマート マカーマートmaqāmāt

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

マカーマート
maqāmāt

アラビア文学の一ジャンル。最高の技巧と学殖とを示す高踏的なもので,民衆とは無縁な一部のエリートたちの愛好するものとの評もある。本来マカーマート (単数形はマカーマ) は,集会,講話などの意味であったが,のち乞食たちの軽妙な人寄せ口上をもいうようになった。文学のジャンルとしてのマカーマートはこの口上から発展したものとみられる。 10世紀,イランのハマダーニーが創始し,約1世紀後のバスラのハリーリーのものが,他を圧して世にもてはやされた。その後も近代にいたるまで多くの文人,学者によって書かれたが,ハリーリーの作をしのぐものは現れていない。このジャンルはペルシア,シリア,ヘブライ諸語の文学にも移入された。1人の無頼の放浪者を主人公とし,そのイスラム世界各地での行状を,もう1人の人物が伝えるという形式で構成され,いくつものマカーマを積上げていったものが,複数形でマカーマートと呼ばれる。

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世界大百科事典 第2版の解説

マカーマート【maqāmāt】

説話形式のアラブの散文文学の一ジャンル。単数形はマカーマmaqāma。10世紀ハマザーニーによって創作され,11世紀ハリーリーによって大成された。主人公は学識,詩才,機知に富み,加えてずる賢い。あるときは貧者,乞食,不具者に身なりを変え,またあるときは説教師,学徒,旅人になって,マカーマで荒稼ぎし,同席した語り手がそれを語るという形式である。マカーマとは,人の集う所の意味で,まれに小人数の場合もあるが,多くは町の辻,モスク,大邸宅,墓地など多人数の集まる所である。

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世界大百科事典内のマカーマートの言及

【アラブ文学】より

…ジャーヒズの流儀は現代にいたるもアラブ散文の手本であり,これの右に出るものはない。新文学形式として登場したマカーマートは,座談問答文学でハリーリーによって完成され,ハリーリーのマカーマートで知られるようになった。これはアラビア語の押韻散文を文体とするあらゆる修辞を駆使して,文法・辞書学,法学などの問答をとりあげているが,極度の技巧を用いているため,散文の主流とはなり得なかった。…

【ハマザーニー】より

…イスラムの文筆家。マカーマート文学の創始者。ハマザーン(ハマダーン)に生まれ,イラク,イランの諸都市を遍歴し,上は王侯から下は乞食に至るまでさまざまの社会層の人間と交わり,その体験をもとにアラビア語で散文説話文学《マカーマート》を著した。…

※「マカーマート」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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