マキ科(読み)まきか(英語表記)Podocarpaceae

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マキ科」の意味・わかりやすい解説

マキ科
まきか
[学] Podocarpaceae

裸子植物。常緑高木または低木。葉は広卵形から鱗片(りんぺん)状まで変化が多い。雌雄異株。雄性の球花は多数の鱗片からなり、各鱗片の内側に葯(やく)が2個ある。雌花は数枚の包葉に包まれ、胚珠(はいしゅ)が1個ある。果実は核果状。しばしば花托(かたく)が肥厚して、肉質の果柄となる。おもに南半球に7属約100種分布し、日本にはマキ属イヌマキナギの2種が分布する。イヌマキの変種ラカンマキは庭木とされる。分子系統に基づく分類でもマキ科とされる。

山崎 敬 2018年5月21日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マキ科」の意味・わかりやすい解説

マキ科
マキか
Podocarpaceae

裸子植物マツ目 (針葉樹目) の1科。マツ目の大半が北半球冷温帯ないし亜寒帯 (亜高山帯) 針葉樹林の主要な構成植物であるのに対し,マキ科は例外的に南半球の暖温帯を分布の中心としている。6属 650種ほどがあり,日本と中央アメリカにも分布するが,これは分布域の北限に相当する。葉は必ずしも針葉にならず,鱗片状や扁平な線形ないし楕円形のものもある。雌雄同株または異株で,雄花はやや長い軸状に多数のおしべを生じ,雌花は短い軸に1,2個の鱗片を生じてその基部に各1個の胚珠がある。胚珠は受精すると液果状にふくらむ。日本にはマキ属 Podocarpusのみがあり,マキ (槇)ナギ (梛)が自生する。マキ属以外の諸属はすべて南半球産である。

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世界大百科事典(旧版)内のマキ科の言及

【イヌマキ(犬槙)】より

…暖地の山林中に生え,また庭園でもよく植えられるマキ科の常緑高木で,雌株には人形の形をした実ができる(イラスト)。紀伊半島一円などで,コウヤマキのホンマキに対して犬の字を冠して区別した方言名が,そのまま標準和名に用いられた(マキ)。…

※「マキ科」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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