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カナダの英文学者,文明批評家。1934年マニトバ大学卒業後,イギリスのケンブリッジ大学に留学。初期には英文学者としての研究に活動領域を限定していたが,50年代以降,広くメディア論を展開,メディアを中心とした独自の文明論で一時期,日本を含め世界的に有名になった。マクルーハンは人間の感覚機能の外部的拡張を可能にするすべての人工物をメディアととらえ,いまや人間の中枢神経組織までがコンピューターというメディアによって拡大・強化されると論じた(《メディアの理解》1964)。しかし,一般的人気はなによりも印刷物中心の時代とは異なるテレビ中心のメディア環境における新しい人間像の成立を唱えた点に集中したといえる。
現代は新しいメディアが続々と登場しようとしているが,メディアの総合的把握と,それらによる人間の感覚機能の変容に関し,マクルーハンの再評価が一部にみられる。あだ花的なブームの対象であったマクルーハンが本格的なメディア論の中に位置づけられるかどうかは,これからのことである。ほかに,シェークスピア論などを含む《グーテンベルグの銀河系》(1962)などの著作がある。
執筆者:後藤 和彦
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カナダの英文学者、文明批評家。マニトバ大学卒業後、イギリスに留学。もともと正統的なイギリス中世、ルネサンス文学の学者であったが、主として1960年代以降、メディアの問題を中心とした文明論を展開、やがて広範な領域をメディアの観点から論ずるユニークな文明批評家として世界的に有名になった。マクルーハンは、人間の身に備わった機能を強化し拡大する働きをするものをすべてメディアとしてとらえた。ことに1960年代に著しい普及をみせたテレビをメディアとして高く評価し、活字メディアの制約のもとにあった人間がテレビによって全感覚的理解を取り戻したと主張した。メディアによる社会の変容を意識し、世界全体に共通した価値観や意識が広まることを予言した。それはテレビの影響にとどまらず、インターネットなどによる通信ネットワーク社会にも通じる考え方といえる。一般の考え方とは異なり、メディアの内容よりは形式、メディア特性を決定的なものとしてとらえたところから賛否が激しく対立した。メディアを広い観点からとらえ直したメディア文明論としてマクルーハンの考え方は今日でも重要視されている。
[後藤和彦]
『M・マクルーハン、E・カーペンター編著、大前正臣・後藤和彦訳『マクルーハン理論 メディアの理解』(1981・サイマル出版会)』▽『M・マクルーハン著、森常治訳『グーテンベルクの銀河系』(1986・みすず書房)』
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…このほか,全世界のコンピューターが,国境という社会・経済制度と独立した分散管理のインターネットでつながったことは,国際社会の成立ちにすら影響を与えはじめている。通信【竹内 郁雄】
【インターネットとグローバリゼーション】
かつてM.マクルーハンは,電子的なメディアが地球全体を覆うようになったときには,地球全体が〈村〉のような単一の共同体に統合されるだろう,と予想していた。彼は,その共同体をグローバル・ビレッジと名付けたのだ。…
※「マクルーハン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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