マジャンディ(英語表記)François Magendie

改訂新版 世界大百科事典 「マジャンディ」の意味・わかりやすい解説

マジャンディ
François Magendie
生没年:1783-1855

フランスの生理学病理学・薬理学者。ボルドーの生れ。ガレノスの伝統を受け継ぐ体系医学を排し,実験,観察に基礎をおく実証医学の草分けとなった。薬物の純粋精製を試み,ストリキニーネを発見した。同時に臭素の化合物やモルヒネなどを医薬として用い,薬物治療を復興させ,薬理学の基礎を築いた。神経生理学に業績が多く,ベルCharles Bellと独立して脊髄の腹根が運動を,背根が感覚をつかさどることを示した(ベル=マジャンディの法則)。1821年にアカデミー・デ・シアンス会員となり,同年《実験生理学病理学雑誌Journal de physiologie expérimentale et pathologique》を創刊した。31年以降コレージュ・ド・フランスの生理学・病理学教授。主著に《生理学摘要Précis élémentaire de physiologie》(1816-17)がある。C.ベルナールは彼の弟子
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マジャンディ」の意味・わかりやすい解説

マジャンディ
まじゃんでぃ
François Magendie
(1783―1855)

フランスの生理学者。ボルドー生まれ。1803年聖ルイ病院の医学生となり、医学校で解剖学と生理学を学び、初め解剖学者として身をたてたが、生理学に転じた。1809年ジャワ産の毒物に関する毒物効果の動物試験の結果を報告、これは最初の薬物学的実験といわれる。1830年コレージュ・ド・フランスの生理学教授となり、パリのオテル・ディユ病院の医師を兼務。脊髄(せきずい)神経の機能を研究し、脊髄前根は運動を、後根は知覚をつかさどるという「ベル‐マジャンディの法則」を確立、また血流、嚥下(えんげ)、嘔吐(おうと)の機構を研究した。1821年の『実験生理学雑誌』創刊など、フランスにおける実験生理学の先駆的業績をあげた。

[大鳥蘭三郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マジャンディ」の意味・わかりやすい解説

マジャンディ
Magendie, François

[生]1783.10.15. ボルドー
[没]1855.10.7. パリ近郊サンノア
フランスの実験生理学者。 1808年パリ大学医学部卒業。 31年コレージュ・ド・フランス教授。当時の生気論を排し,生命現象物理・化学的現象との不分離を主張,実験的研究を重視した。動物実験によって血液循環呼吸消化を研究し,脊髄神経の前根は運動性で,後根は感覚性であるとする法則 (ベル=マジャンディの法則 ) を 22年に発表した。また,ストリキニーネやモルヒネ,ヨウ素や臭素化合物などを医療に導入し,種々の薬品の作用や用途を研究した。

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世界大百科事典(旧版)内のマジャンディの言及

【ベル=マジャンディの法則】より

…ベルCharles Bell(1774‐1842)が1811年に脊髄前根が運動性であることを発見し,次いでF.マジャンディが22年に後根が感覚性であり前根が運動性であることを実験的に証明した。このため,この事実を一般に〈ベル=マジャンディの法則〉という。…

※「マジャンディ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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