コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

マッキーバー MacIver, Robert Morrison

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

マッキーバー
MacIver, Robert Morrison

[生]1882.4.17. スコットランド,ストーノウェー
[没]1970.6.15. ニューヨーク
スコットランド生れのアメリカの社会学者,政治学者。エディンバラ,オックスフォード両大学に学び,1915年トロント大学政治学教授,27年コロンビア大学付属バーナード・カレッジの社会学教授,29~49年コロンビア大学社会学部部長。アメリカ社会学のなかでも最もすぐれた理論社会学者の一人で,G.A.ランドバーグらの自然科学的社会学を攻撃し,統計主義を批判した。社会学の対象を社会現象,人間現象とし,しかもそのなかでの社会心理学的な関係が,人間行動の背後に存在する点に注目している。彼は社会学の対象である社会を社会関係としてとらえ,コミュニティーとアソシエーションを中心概念としてその分析を行なった。この対置概念は,F.J.テンニェスのゲマインシャフトゲゼルシャフトの概念とともに,社会類型論の基礎概念とされている。主著『コミュニティー』 Community (1917) ,『社会学講義』 The Elements of Social Science (21) ,『政府論』 The Web of Government (47) ,『社会』 Society (49,C.H.ページと共著) 。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディアの解説

マッキーバー

英国,のち米国で活躍した政治学者,社会学者。スコットランド生れ。コロンビア大学名誉教授。国家を共同社会から区別された目的社会としてとらえ,社会学的に多元的国家論を支持。
→関連項目社会学

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典 第2版の解説

マッキーバー【Robert Morrison MacIver】

1882‐1970
スコットランド生れのアメリカ社会学者,政治学者。エジンバラ大学,オックスフォード大学に学び,トロント大学教授(1915),コロンビア大学教授(1927)となり定年(1949)で第一線を退くまでコロンビア学派の総帥として社会学界,政治学界で活躍した。自然科学主義的社会科学の傾向に反対して,人間行動の意志的創造性を強調した主意主義的社会行動論を説き,態度と利害関心を基礎概念にしてコミュニティcommunityとアソシエーションassociationの両類型にもとづく社会構造論を展開し,現代社会をさまざまな利害関心によって結成される多数のアソシエーションの錯綜する動的な過程としてとらえ,一元的決定論を排した独自の社会変動論を提示した。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

マッキーバー
まっきーばー
Robert Morrison MacIver
(1882―1970)

アメリカの社会学者、政治学者。スコットランドに生まれる。エジンバラ、オックスフォード両大学に学ぶ。カナダのトロント大学教授を経て、1920~1950年コロンビア大学教授。コロンビア学派の指導的人物として、社会学界、政治学界、そして哲学界に幅広い影響力をもった。戦後アメリカ社会学が実証的な手続の尊重のあまり、行動科学に基礎を置く自然科学の方法をたどることに批判を加え、思想としての社会学方法論の立場の必要性を強調した。また1950年代にアメリカ思想界を襲ったマッカーシズムに抗し、リベラルな思想家としての立場を堅持した。『コミュニティ』(1917)、『社会科学要論』(1921)、『近代国家論』(1926)、『社会――その構造と変動』(1931)などの著書がある。
 とくに独自の国家論とコミュニティ論の思想と設計によって知名度が高い。国家論については、さまざまの利害集団としてのアソシエーションと同じ地平に位置づける、「多元的国家論」を構想。一元的な国家論の制度的な枠組み、あるいは国家主義的イデオロギーの濃厚な時代において、このリベラルな国家論を構想したことは、特筆に値しよう。この多元的国家論は、第二次世界大戦後、国家の枠組みを超えた(トランス・ナショナル)さまざまの行為主体間の協働システムが説かれ、また現実にもそのような動きが台頭してきているなかで、そのもつ先見性が評価されよう。彼のコミュニティ論はあまりにも有名だが、その特色は、人々の諸利害をクロスする関心の共同にある。それはたとえばテンニエスの「ゲマインシャフトとゲゼルシャフト」にみられた時代類型というより、人々にとっての普遍的な概念であり、利害関心の共同、共属感情に基礎を置く共同社会の視点を明示している。[奥田道大]
『中久郎・松本通晴監訳『コミュニティ』(1975/復刊版・2009・ミネルヴァ書房) ▽R・M・マッキーヴァー著、小田兼三訳『ソーシャル・ワークと社会学』(1988・誠信書房)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内のマッキーバーの言及

【コミュニティ】より

…企業共同体という言葉も人類共同体という表現も,こうした見方をとることによってはじめて意味あるものとなる。【稲上 毅】
[現代のコミュニティ]
 コミュニティの概念の出自はR.M.マッキーバーによって,アソシエーションassociation(機能社会)と対置して,社会学の基礎用語として提起されたものである。マッキーバーは社会構成を分析するために,自然的契機(血縁,地縁など)にもとづいて成立する集団としてのコミュニティと,いろいろな関心にもとづいて成立する利害関係的集団としてのアソシエーションとを考え,両者が複雑に絡みあいそれぞれの関心が質的・量的に増大,異質化しながら対立していることが現代社会の様相の一つをなすと説いた。…

【社会】より


[部分社会]
 (1)地域社会 地縁によって形成される社会,すなわち地理上のテリトリーを共有する人びとから成る社会。マッキーバーがアソシエーションから区別してコミュニティと呼んだものがこれであって,農村と都市がその2大区分をなす。必ず一定の政治的に区分されたテリトリーと結びついていることを本質的特性としており,この点で次に述べる集団と区別される。…

※「マッキーバー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

マッキーバーの関連キーワードアイゼンシュタット(Shmuel Noah Eisenstadt)ギンズバーグ(Morris Ginsberg)アソシエーション(社会)S. アイゼンシュタットアルバート モールツアイゼンシュタットレジナルドの塔社会学的国家論われわれ意識機能的国家論アムラー遺跡リプセット集団社会学共同体感情共同体思想国家主義モールツバーカーアノミー機能集団

今日のキーワード

ブラックフライデー

米国などで、感謝祭(11月第4木曜日)の翌日の金曜日のこと。休日とする職場が多く、商店にとってはクリスマス商戦の初日に当たる。「ブラック」は、買い物客による混雑、または黒字を連想させることから。→サイ...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android