マンスフィールド(Katherine Mansfield)(読み)まんすふぃーるど(英語表記)Katherine Mansfield

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

マンスフィールド(Katherine Mansfield)
まんすふぃーるど
Katherine Mansfield
(1888―1923)

イギリスの女流小説家。ニュージーランドの首都ウェリントンで富裕な実業家の娘として生まれ、ロンドンのクイーンズ・カレッジで学ぶ。卒業後帰郷し、1908年ふたたびロンドンに出る。音楽家と不幸な結婚をして、まもなく別居。11年、オックスフォード大学に学ぶジョン・ミドルトン・マリと知り同棲(どうせい)(1918年正式に結婚)。マリ編集の『リズム』や『アセニアム』誌その他に批評や短編小説を発表した。繊細な感受性の持ち主で、チェーホフの影響を多分に受けながら、微妙な人間心理を印象主義的タッチで巧みに描出した。第一次世界大戦で弟が戦死してからは、故郷ニュージーランドでの幼いころの思い出を素材とする決心を固め、郷愁のこもった傑作を書いた。23年1月、肺結核のため、34歳でパリ郊外フォンテンブローにおいて没。生前の短編集に『ドイツの宿にて』(1911)、『序曲』(1918)、『完全な幸福』(1920)、『園遊会』(1922)など。『鳩(はと)の巣』(1923)、『子供らしいこと』(1924)の短編集は死後の出版である。『日記』(1927、増補1954)、『書簡集』(1928)は、作家個性内面生活をよく伝えている。

[小松原茂雄]

『安藤一郎訳『マンスフィールド短編集』(新潮文庫)』『伊吹知勢編『20世紀英米文学案内2 マンスフィールド』(1966・研究社出版)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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