改訂新版 世界大百科事典 「メアリー1世」の意味・わかりやすい解説
メアリー[1世]
Mary Ⅰ
生没年:1516-58
イングランド女王。チューダー朝第4代。在位1553-58年。別名はメアリー・チューダーMary Tudor。ヘンリー8世と最初の王妃キャサリン・オブ・アラゴンの子。1531年父による母の離別,寵妃アン・ブーリンの擁立,続く宗教改革の進展によって,個人的にも信仰上でも不遇な少女時代を送る。34年非嫡出を宣告される。しかし,弟エドワード6世時代にも国教会への恭順を拒み通して不抜のカトリック信仰を表明した。53年ジェーン・グレーを王位にかつぐ摂政ノーサンバーランドの陰謀を排して即位,多くの宗教改革者を獄に送った。54年スペイン王子,のちのスペイン国王フェリペ2世との婚約により国民の不信を招く。この間,プロテスタント迫害はいよいよつのり,ために〈血のメアリーBloody Mary〉の異名をとる。57年スペインにそそのかされてフランスに宣戦,翌年大陸最後の拠点カレーを失った。待望した後嗣を設けることもなく不評と失意のうちに没。王位はプロテスタントの義妹エリザベスに移った。
執筆者:越智 武臣
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報