ゲーテの《ファウスト》に登場する悪魔。メフィストと略称される。中世の民衆本ではメフォストフィレスMephostophilesの名で呼ばれており,一般にヘブライ語の〈mephis(破壊する者)〉と〈tophel(惑わす者)〉との合成語,もしくは〈善の破壊者〉の意のmephostophielが語源と考えられているが,正確なことは不明。試練を与える者または誘惑者として悪を行いはするが,絶対的な悪の体現者ではなく,ゲーテの定義では〈つねに悪を欲して善をなす力の一部〉。ファウストとメフィストフェレスの間の契約の場面は,《ヨブ記》1章6~12節のサタンのそそのかしによるヨブに対する神の試練の場面を下敷きにしている。メフィストフェレスを主題にした作品としては,ほかにドラクロアの石版画(1828),A.ボーイト作曲のオペラ《メフィストーフェレ》(1868初演)が有名。
→ファウスト
執筆者:種村 季弘
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…ゲーテのファウスト劇は1773年の《ウルファウスト》をもって始まり,90年に《ファウスト断片》として引き継がれ,《ファウスト》第1部は1808年に出版された。ここではファウストはメフィストフェレスMephistophelesの魔術の力を借りて若がえり,清純な庶民の娘グレートヒェンGretchenを誘惑し,生まれた子どもとともに彼女を捨ててしまう。嬰児殺しの罪でグレートヒェンはファウストの名を呼びながら死刑に処せられるが,悔悟によって堕地獄から救われる。…
…地方的な伝説や民俗伝承のなかのキリスト教以前の妖術師や魔術師が,キリスト教的解釈によって装いも新たに悪魔として蘇る場合もある。悪魔と契約して地獄に堕ちるファウストも,その誘惑者メフィストフェレスも,先行する古代伝説の中世的再話である。 悪魔との契約はしばしば性的妄想に結びついた。…
…さらに,鶏が収穫の際にいけにえにされたり,結婚式の花嫁馬車にのせられたり,新床に入れられたりする習俗は,鶏のもつ多産性と結びつく豊饒(ほうじよう)儀礼の一種とみなすことができよう。一方,黒い鶏は悪魔の動物とされることがあり,ゲーテ《ファウスト》のメフィストフェレスのように,しばしば悪魔は黒い鶏の羽を1本つけた姿で登場する。【谷口 幸男】。…
…ゲーテのファウスト劇は1773年の《ウルファウスト》をもって始まり,90年に《ファウスト断片》として引き継がれ,《ファウスト》第1部は1808年に出版された。ここではファウストはメフィストフェレスMephistophelesの魔術の力を借りて若がえり,清純な庶民の娘グレートヒェンGretchenを誘惑し,生まれた子どもとともに彼女を捨ててしまう。嬰児殺しの罪でグレートヒェンはファウストの名を呼びながら死刑に処せられるが,悔悟によって堕地獄から救われる。…
…ヤハウェがつくった最後の悪魔ビヒモスは象のような耳と顔貌をもつ醜形で,自身もあきれるほどだった。メフィストフェレスの耳はロバのようであり,シェークスピア《夏の夜の夢》のパックたちはとがった長い耳をもつ。日本でも般若の耳は耳介結節よりも上部の耳輪の一部がとがっている。…
※「メフィストフェレス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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