メンヒル(読み)めんひる(その他表記)menhir

翻訳|menhir

デジタル大辞泉 「メンヒル」の意味・読み・例文・類語

メンヒル(menhir)

《もとブルトン語で長い石の意》先史時代巨石記念物の一。1本の長大な石を立てたもので、墓標とも巨石信仰ともいわれる。フランスブルターニュ地方に多く、新石器時代に作られたもの。立石りっせき

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精選版 日本国語大辞典 「メンヒル」の意味・読み・例文・類語

メンヒル

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] menhir ) 新石器時代の巨石構造物の一つ。細長い柱状の巨石を立てたもの。墓碑または呪的なものと考えられているが不明。フランスのブルターニュ地方に多い。立石(たていし)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「メンヒル」の意味・わかりやすい解説

メンヒル
めんひる
menhir

巨石記念物のうち、加工をほとんど加えない石を単独に立てたものの呼称ウェールズ語でマインmaen(石)とヒルhir(長い)を意味し、立石(りっせき)と訳されている。フランス、ブルターニュ地方のロクマリアケルLocmariaquerにあるメンヒルは、倒壊して折れているが、本来長さが20メートル以上もあった巨大なものである。立石が並んだものはアリニュマン(列石)とよばれ、フランス、カルナックのものが著名である。巨石記念物で年代を確定できるものは少ないが、新石器時代から初期金属器時代に多くが建造されたと考えられている。墓の真上に置かれた墓標と解釈できるものもあるが、記念碑的性格のものが多いといわれている。

[寺島孝一]


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百科事典マイペディア 「メンヒル」の意味・わかりやすい解説

メンヒル

ヨーロッパ新石器時代の巨石記念物の一つで,細長い巨石を立てたもの。フランスのブルターニュ地方に多く残る。記念碑,墓碑,祭祀のためのものなどと考えられるが明らかでない。
→関連項目カルナック列石

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「メンヒル」の解説

メンヒル
menhir

ケルト語で立石を意味し,巨石記念物一種である。自然石または加工を施した石を地上に立てたもの。特に西イングランドに多く存在するが,ヨーロッパ,アジアアフリカ各地にも分布している。墓標として立てられたものか,太陽崇拝や石信仰のためのものであるかは明らかでない。新石器時代から初期鉄器時代に属するものが多い。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メンヒル」の意味・わかりやすい解説

メンヒル
menhir

巨石記念物の一種。細長い石を1本立てたものをいう。高さは普通2~5m。 menは石,hirは細長いというケルト語に由来する。フランスのブルターニュ地方を中心西ヨーロッパに多い。記念碑なのか,墓碑なのかまだはっきりとはわからない。

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旺文社世界史事典 三訂版 「メンヒル」の解説

メンヒル
menhir

新石器時代に造られた巨石遺跡の1つ
自然石または多少加工した方柱状の1本の石を立てたもので,高さ2〜3mから20mにおよぶものもある。フランスに最も多く残っている。

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世界大百科事典(旧版)内のメンヒルの言及

【巨石記念物】より

…メガリスは〈巨大な石〉を意味するギリシア語に由来し,最大の石には20tを超えるものがある。1本の柱状の石を立てたものはメンヒル(立石),柱状石を1ないし数列立て並べたものはアリニュマン(列石),環状に並べたものはストーン・サークル(環状列石,ウェールズ語ではクロムレック),また巨大な平石を数個の石で支えたものはドルメン(支石墓)と呼ばれ,新石器時代後半から青銅器時代初期にかけてのヨーロッパ,特に大西洋岸に色濃く分布する。同じ頃,同地には多くの石室墓が築造された。…

【先史美術】より

…詳細は〈巨石記念物〉の項目にゆずり,ここでは美術的に重要なもののみをとりあげる。 巨石文化を残した人々は絵画や彫刻をあまりつくらなかったが,特定の地方では,土製または石製の偶像がつくられたり,メンヒルに人物の姿を浮彫したり,巨石や土器に特殊な装飾が施された。メンヒルの人像はフランスのセーヌ,オアーズ,マルヌ地方でつくられた。…

※「メンヒル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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