モノタイプ(英語表記)monotype

デジタル大辞泉 「モノタイプ」の意味・読み・例文・類語

モノタイプ(monotype)

活字を1個ずつ自動的に鋳造・植字する機械。原稿に従ってキーボードで打って鑽孔さんこうテープを作り、これを活字鋳造機にかけると自動的に鋳造しながら植字するもの。

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精選版 日本国語大辞典 「モノタイプ」の意味・読み・例文・類語

モノタイプ

  1. ( Monotype ) 活字を一本ずつ鋳造して組版をつくる鋳植機の商標名。活字鋳造、文選、植字の三工程からなる組版作業の機械化目的として開発されたもの。
    1. [初出の実例]「モノタイプの自動ハンドルが、活字をつまみ出すやうな無感情さで」(出典:太陽のない街(1929)〈徳永直〉負傷)

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改訂新版 世界大百科事典 「モノタイプ」の意味・わかりやすい解説

モノタイプ
monotype

活字を自動的に鋳造し並べて組む機械(いわゆる自動鋳植機)の一種。1885年にアメリカのランストンTolbert Lanstonが発明した機械で,鋳植機の一種であるライノタイプが1行分ずつ鋳造するのに対し,1字ずつ鋳造し植字して版を組む機構であるので,モノ(1個)タイプ(活字)の意をとり商品名とした。これはいわゆる欧文モノタイプであるが,日本では邦文モノタイプと称して和文を鋳造し植字する機械があるが,単にモノタイプということもある。いずれも,活字を1本ずつ拾って組む手組みに比べ,高能率で活字組版を作ることができ,活版工程を機械化するうえで重視されているが,文字組版の自動化としてはしだいに電算植字法に移行しつつある。

キーボード部と鋳植部の2部分から成る。キーボード部は文字あるいは符号を印したキー約300個があり,原稿にしたがってキーを押すと紙テープ(幅43/8インチ)に穴があく。この穴の数と位置は一つ一つの文字符号,文字と文字の間隔を表している。鋳植機はテープの指示によって225個の母型のうち所要のものを鋳造部に運び,活字が鋳造され,組版部に送られて指定の体裁の版に組まれる。このように操作者はテープに穴をあけるだけで活字組版を自動的に作ることができ,また組版は1本1本の活字の集合であるから校正時におけるぬきさしも簡単にできる。また行末をそろえる(ジャスティフィケーション)機構もある。組版能力は活字で毎分140~160本である。

1920年(大正9)杉本京太の発明した立形鋳植機が最初のものである。これは活字鋳造用母型を板面に配列したものを鋳造装置の前面おき,所要の文字を選んでこの母型板を動かし鋳口にあてて鋳造し,できた活字を機械的に並べるものであった。その後多くの人々により次第に改良が加えられ,とくに第2次世界大戦後における機構改良の進歩はめざましく,新聞社,印刷所で広く用いられるようになった。大別すると手動式と自動式があるが,手動式はあまり利用されていない。自動式はキーボードと鋳植機とから成り,原稿により文字を印したキーを打つとテープに穴があけられる。この穴の配列は文字によって違っている。このテープを鋳植機にかけると機械的な選択装置によって鋳植機の母型庫を駆動するか,あるいは母型庫から所要の母型をとり出し鋳口まで移動させる。鋳造が行われ,できた活字は組版部まで運ばれて1行ずつ並べられる。鋳植能率は毎分110字ほどである。この紙テープは欧文モノタイプのものと違い通信用と同種のものであるから,新聞社では本社・支社間の遠隔操作により同時に同じ組版を各所で作ることができ,また,コンピューターを利用してテープで記事を編集することもできるので,ますます能率化される傾向にある。しかし,大勢は活字組版(いわゆるホットタイプ)からコールドタイプの写真植字へ移行している。
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モノタイプ
monotype

版画の一技法。版画は本来一つの原版から複数の版画を写し取ることができる複数芸術であるが,その中で,1回しか刷ることのできない版画とその技法をモノタイプと呼ぶ。しかし実際には数回刷る場合もある。金属,板,紙などの上にインキ,絵具などで直接描き,乾かないうちに台材(紙,布など)に写し取らせる。即興的な筆触がなまなましく再現されるので,B.カスティリオーネ,W.ブレーク,E.ドガなどが好んで制作した。とくに現代では版画というよりも造形的表現手段の一つとなっている。

 1点制作という点で,モノタイプを広義にとらえれば,H.セーヘルスの,1点ずつ版や色を変えた色刷版画や,シュルレアリストの用いたフロッタージュデカルコマニー,あるいは版画に網,布片,紐などを置いて,それを台材に写し取らせる方法(例えば恩地孝四郎の作品)や墨流しもモノタイプといえる。
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百科事典マイペディア 「モノタイプ」の意味・わかりやすい解説

モノタイプ

活字自動鋳植機の一種。1885年米国のランストンTolbert Lanstonが発明したもので,ライノタイプが1行分の活字をまとめて鋳造するのに対し,1個(モノ)ずつ活字を鋳造する。手動式と自動式があるが,鋳植能力は和文の場合,手動式で毎分40字前後,自動式で毎分100字前後。欧文モノタイプでは150字前後の能力がある。自動式では,キーボードによってテープに穴をあけ,これをキャスター(活字鋳植機)にかけると,機械的な選択装置により所要の母型がとり出されて,鋳造と植字が行われた。オフセット印刷が主流となった現在は,電算植字法の普及により衰微した。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「モノタイプ」の意味・わかりやすい解説

モノタイプ
monotype

活字を1本ずつ鋳造していく形式の植字機。活字鋳造の省力,自動化の手段として 1897年アメリカの T.ランストンにより発明された。日本でも 1950年頃から実用化した。その原理は,タイプライタと同じで,オペレータがキーを押し,テープの上にその文字を表わす孔をあける。これは6単位,8単位というように区別されるが,この連続鑽孔されたテープを鋳造機にかけると,それに対応する文字の母型を選んで連続的に鋳造していくもの。在来の植字に比べ,きわめて高速,能率的であったが,この方式もほとんどコンピュータに代られるようになった。

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世界大百科事典(旧版)内のモノタイプの言及

【自動鋳植機】より

…活字を自動的に選び,鋳造し,版に組む機械。和文鋳植機と欧文鋳植機とに分けられ,さらに鋳造される活字が1個ずつのモノタイプMonotypeと,1行が一塊となって鋳造されるライノタイプLinotypeとに分けられる。活版は活字の手拾い(文選)と組み(植字)の手作業に依存しているので,活字を鋳込みながら組んでいく機械が要求されていた。…

【モノタイプ】より

…活字を自動的に鋳造し並べて組む機械(いわゆる自動鋳植機)の一種。1885年にアメリカのランストンTolbert Lanstonが発明した機械で,鋳植機の一種であるライノタイプが1行分ずつ鋳造するのに対し,1字ずつ鋳造し植字して版を組む機構であるので,モノ(1個)タイプ(活字)の意をとり商品名とした。これはいわゆる欧文モノタイプであるが,日本では邦文モノタイプと称して和文を鋳造し植字する機械があるが,単にモノタイプということもある。…

【カスティリオーネ】より

…そこから得た技法は,彼の作品に創意に富んだ,明暗法による劇的な表現を可能にしたと言える。またモノタイプの真の発明者とされる。主題は宗教・神話のほか静物・風俗など幅広く手がけた。…

【自動鋳植機】より

…活字を自動的に選び,鋳造し,版に組む機械。和文鋳植機と欧文鋳植機とに分けられ,さらに鋳造される活字が1個ずつのモノタイプMonotypeと,1行が一塊となって鋳造されるライノタイプLinotypeとに分けられる。活版は活字の手拾い(文選)と組み(植字)の手作業に依存しているので,活字を鋳込みながら組んでいく機械が要求されていた。…

※「モノタイプ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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