モミジアオイ(英語表記)scarlet rose mallow
Hibiscus coccineus(Medicus)Walt.

改訂新版 世界大百科事典 「モミジアオイ」の意味・わかりやすい解説

モミジアオイ
scarlet rose mallow
Hibiscus coccineus(Medicus)Walt.

古くから観賞用として庭に植えられる,北アメリカ原産のアオイ科の大型宿根草。中国名は紅蜀葵(こうしよつき)。高さ1~2mとなり,全草無毛,冬季地上部は枯れる。茎は直立または斜めに伸び,上部で分枝することがある。葉は掌状に5深裂し,長い柄を有する。萼は深く裂けて5片をもち,小苞片は線状で10~12本ある。8~9月に咲く花は大きく直径10~15cm,花弁は5枚,細長く,弁間にすきまができる特徴がある。花色は紅色で,紅色の柱頭をもつ花柱は長く突出する。果実は細長い卵形で,先端はくちばし状となる。種子は短毛におおわれる。繁殖は春の株分け,または種子による。種子は硬実性が強いから,傷をつけて5月に庭にまく。通常2年目から開花する。

 本種に近縁のものにソコベニアオイH.militarisCav.(英名Helberd-leaved rose mallow),アメリカフヨウH.hybridus Hort.(英名(common ) rose mallow,marsh mallow)がある。ソコベニアオイは白花で中心部に暗紅色の花をもち,葉は3裂する点が異なる。アメリカフヨウは,北アメリカ原産の大型多年草である。日本に導入されているものはクサフヨウH.moscheutos L.,モミジアオイ,ソコベニアオイの3種の交雑種で,花は大きく直径20cmを超え,葉は深く裂けない。花色は白,桃,赤色など変化に富む。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「モミジアオイ」の意味・わかりやすい解説

モミジアオイ
もみじあおい / 紅葉葵
[学] Hibiscus coccineus Walt.

アオイ科(APG分類:アオイ科)ヒビスカス属(フヨウ属)の耐寒性多年草。コウショッキ(紅蜀葵)ともいう。高さ約2メートルに達する。葉は大形で、モミジ状の切れ込みがある。8~9月、径約20センチメートルでアメリカフヨウに似た赤色の5弁花を開く。朝開いて夕方閉じる一日花で、毎日新しい花を開く。アメリカのジョージア、フロリダ地方原産で、花壇に植えられる。非常にじょうぶで耐暑性、耐寒性もあり、日当り風通しのよい所なら放任しても毎年開花する。大株になるので、株間は1メートルは必要である。冬季は地上部が枯れ込むので、地際(じぎわ)で刈り取るとよい。繁殖は実生(みしょう)もできるが、開花が2年目からになるので、一般には株分けがよい。株分けは春、発芽前に行う。近年モミジアオイとアメリカフヨウの種間交配種ができ、園芸品種として観賞される。

[金子勝巳 2020年4月17日]


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百科事典マイペディア 「モミジアオイ」の意味・わかりやすい解説

モミジアオイ

コウショクキ(紅蜀葵)とも。北米原産のアオイ科の多年草で,ハイビスカスの仲間である。花壇,庭園に栽植。高さ2mほどになり,全草粉白を帯びる。葉は長い柄があり,掌状または鳥足状に深く5〜7裂する。夏,葉腋から柄を出し,緋(ひ)紅色で径15cmくらいの5弁花を開く。花弁は倒卵形で先がとがり,基部は狭くて花弁間にすきまがある。株分けでふやす。
→関連項目アオイ(葵)

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