モンバサ(その他表記)Mombasa

デジタル大辞泉 「モンバサ」の意味・読み・例文・類語

モンバサ(Mombasa)

ケニア南部、インド洋に面する港湾都市。海岸州の州都ウガンダに至る内陸への鉄道の基点で、国際空港もある。小島モンバサ島と大陸本土にまたがり、橋および堤防で結ばれる。紀元1世紀頃、アラブ人、ペルシア人が港を築き、11世紀にはインド洋交易の主要拠点として知られた。アラブ人とポルトガル人の間で領有が争われたのち、英国の支配下に入った。同国第二の都市に発展し、コーヒーサイザル麻綿花・石油などを輸出。

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精選版 日本国語大辞典 「モンバサ」の意味・読み・例文・類語

モンバサ

  1. ( Mombasa ) ケニア南部、インド洋に面した港湾都市。内陸への鉄道の基点。コーヒー、綿花、サイザル麻などを輸出。

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改訂新版 世界大百科事典 「モンバサ」の意味・わかりやすい解説

モンバサ
Mombasa

東アフリカ,ケニア南東部の港市。東アフリカ随一の港をもち,人口76万7454(2003)はケニア第2位。インド洋のモンバサ島と大陸とにまたがる。島の西の築堤橋が首都ナイロビを経てウガンダに至る鉄道と主要国道で本土と結んでいる。北のニェリ橋はマリンディ,ラムに,南はリコニ・フェリーでタンザニアに連なっている。モンバサは11世紀ころから,インド洋交易の主要な沿岸都市としてはっきりした形を現す。14世紀にイブン・バットゥータが訪れた時,すでに大きな町で,住民はイスラムに改宗し多くのモスクがあった。15世紀末ポルトガルによる東インド航路が開けると,モンバサはその支配に抵抗したが1505年に略奪され,町は焼かれた。93-95年ポルトガルは港の出口に堅固な砦フォート・ジーザスを築いて,支配を確実なものにした。1631年の有名なユースフ・ブン・アルハサンの砦奪回など,17~18世紀には砦は何回も奪合いを繰り返した。18世紀中期に,オマーン・アラブに任命されたモンバサの太守ムハンマド・アルマズルイがポルトガル勢力を南のモザンビークに駆逐し,沿岸一帯にアルマズルイの支配権を確立した。19世紀初めに一時イギリスが支配するが,1828年にザンジバルを首都とするスルタン国をつくったオマーン・アラブのサイイド・サイードが勢力を拡げ,30年代後半モンバサもその支配下に入った。90年イギリスはザンジバルのスルタンを傀儡化して,現在のタンザニア以北の沿岸部一帯の支配権を買収し,95年には東アフリカ保護領としてモンバサに首都をおいた。96年にこの地からウガンダまでの鉄道建設が始まり1901年にビクトリア湖畔のキスム,31年にカンパラまで開通した。主都は1905年に内陸の計画都市ナイロビに移されたが,東アフリカの玄関口としてモンバサは大きな発展をとげた。美しいアラブ風の白壁の家が建ち並び,アラブ,インド人の何世紀も続く商人が多い。かつてのポルトガル支配のシンボル,フォート・ジーザスは博物館になっている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「モンバサ」の意味・わかりやすい解説

モンバサ
もんばさ
Mombasa

アフリカ中東部、ケニア南東部の港湾都市。人口68万5000(2001推計)、首都ナイロビに次ぐ同国第二の都市である。インド洋上の小島モンバサ島(面積13平方キロメートル)と本土にまたがり、橋と堤防で結ばれている。東アフリカでも有数の港湾をもち、インド、東アジア、ヨーロッパ、アメリカとを結ぶ定期船が就航する。またナイロビを経由してさらにウガンダに通じる鉄道の起点でもあり、国際空港も所在する。工業は石油精製や化学工業などが行われている。

 紀元1世紀ごろ、東アフリカ海岸部とアラビア半島との交易に携わるアラブ人、ペルシア人がここに港を築き、季節風を利用してダウ(帆船)で活動した。15世紀末バスコ・ダ・ガマによるインド航路の発見を契機として、ポルトガルがこの地に進出した。17~18世紀、奪回を試みるアラブ人とポルトガルとの間で、何回も争奪が繰り返されたのち、18世紀中期、ポルトガルは追い払われた。19世紀後半からはイギリスの支配下に入り、1905年までイギリス領東アフリカの行政中心地であった。市内にはアフリカ人に混じってアラブ人が多数居住し、全住民の40%がイスラム教徒で、各所にモスクがある。ほかに、イギリス植民地時代初期、鉄道建設のため導入された労働者の子孫などインド人も多く、ヒンドゥー教寺院も点在する。歴史的たたずまいを残した旧市街は、モンバサ島の東側にある。港の近くには16世紀末ポルトガル人が建設したフォート・ジーザスという砦(とりで)の遺跡があり、国立博物館となっている。島の西側には近代的な新港キリンディニがあり、工業地区などを含む新市街が、これを取り囲むように広がっている。島の南北の海岸はホテルが林立するリゾート地で、本土側には島側から住宅が延びている。

[赤阪 賢]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「モンバサ」の意味・わかりやすい解説

モンバサ
Mombasa

ケニア南東部,インド洋に臨む港湾都市。コースト州の州都で,ケニアの主要港。市域は大陸部分と入江に浮かぶサンゴ礁のモンバサ島からなる。11世紀にアラブ人が建設,1331年にイブン・バットゥータが,1498年バスコ・ダ・ガマが到来。以来,アラブ王朝とポルトガルとの間で争奪戦が繰り返され,モンバサ島はスワヒリ語で戦争を意味する「ムビタ島」と呼ばれるようになった。1505年ポルトガルが占領,その後もアラブとの間に戦闘が続き,1729年アラブのオマーンの支配下に入り,1840年代からザンジバル王国のスルタン領。1887年イギリスに譲渡され,1895~1907年イギリスの東アフリカ保護領の首都。1928年自治権を獲得したが,1963年のケニア独立までザンジバル王国の一部であると同時にイギリスのケニア保護領だった。二つの海港をもち,島の西部を占めるキリンディニ港は近代的施設を備え,コーヒー,綿花,チャ(茶),サイザルアサ,ジョチュウギクなどを輸出。第2次世界大戦後,急速にセメント,ガラス,石鹸,醸造,造船などの工業が発展。インド人やアラブ人が多い。1593~95年にポルトガル人が建設した要塞フォート・ジーザスは,2011年世界遺産の文化遺産に登録された。人口 77万7100(2004推計)。

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百科事典マイペディア 「モンバサ」の意味・わかりやすい解説

モンバサ

ケニア南部,インド洋岸の港湾都市。市街はモンバサ島と大陸側にまたがる。首都ナイロビ南東約450kmにあり,ウガンダ,タンザニアに通じる鉄道の起点。農林産物の集散加工が行われ,工業大学がある。東アフリカ最大の貿易港。11世紀からアラブの貿易港として繁栄し,16世紀以降ポルトガルとアラブの間で支配権の争奪が行われた。1830年代にザンジバルの支配に入ったが19世紀末には英国が買収,1888年―1907年は英領東アフリカの主都であった。ウガンダへの鉄道建設の労働者として多くのインド人が渡来。現在もアラブ系,インド系住民が多い。91万5101人(2009)。
→関連項目ナイロビ

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旺文社世界史事典 三訂版 「モンバサ」の解説

モンバサ
Mombasa

ケニア南東部のインド洋に臨む海港都市
11世紀ごろからインド洋交易で成長し,インド人,アラブ人が多く来航した。14世紀前半に訪れたイブン=バットゥータによれば住民はイスラームに改宗し,モスクが並んでいたという。1498年にヴァスコ=ダ=ガマが寄港し,ポルトガルによるインド航路開拓が遂げられると,ポルトガルとの抗争が絶え間なく続いた。1830年代にはザンジバルのスルタンが支配したが,90年代にはイギリスが支配を広げて東アフリカ保護領の主都とした。以後東アフリカの玄関口として発展した。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「モンバサ」の解説

モンバサ
Mombasa

東アフリカ,ケニア第2の都市。インド洋の港市でスワヒリ地方の中心。16世紀末ポルトガルがジーザス砦を建造。18世紀半ば以降オマーンのマズルイ家,ザンジバルの支配をへて,イギリスの植民地期にウガンダ鉄道の起点となる。

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世界大百科事典(旧版)内のモンバサの言及

【ケニア】より

…インド洋岸の海岸平野は,急崖で画される何段かの隆起サンゴ礁からなっている。港湾都市モンバサは深い水路で本土と分かれた島に立地するが,この水路は氷河時代の海面低下期に下刻された谷が沈水してできたものと解されている。ケニアの最も顕著な地形は,国の中央部や西寄りを南北に貫く東リフト・バレー(アフリカ大地溝帯の一部)である。…

※「モンバサ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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