モーズリー(英語表記)Henry Gwyn Jeffreys Moseley

デジタル大辞泉 「モーズリー」の意味・読み・例文・類語

モーズリー(Henry Gwyn Jeffreys Moseley)

[1887~1915]英国物理学者X線分光学を開拓し、元素に固有な特性X線波長測定してモーズリーの法則発見原子番号の決定方法を与えた。

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改訂新版 世界大百科事典 「モーズリー」の意味・わかりやすい解説

モーズリー
Henry Gwyn Jeffreys Moseley
生没年:1887-1915

イギリスの物理学者。ドーセットシャーのウェーマスの生れ。オックスフォードのトリニティ・カレッジで物理学を学び,1910年の秋マンチェスター大学のE.ラザフォードを訪ね,学生実験の助手職を得た。ラザフォードのもとで,ラジウムB(214Pb)やラジウムC(214Bi)の1個の原子から放出されるβ粒子数を決定するための研究を行い,放射性物質や放射線の扱いを学んだ。12年の秋からは特別研究員制度の適用をうけて研究に専念同年M.vonラウエによる結晶X線回折の成功の知らせをきき,これを契機としてX線の波動性の研究を開始した。数理物理学者のC.G.ダーウィンとの共同研究によって,ブラッグ父子におくれたものの,同様な回折の関係式を得,反射線が同一の透過能力をもつことやその強度が角度によって変化することを見いだした。さらにこの変化に生じたピークが,使用したX線管の対陰極物質である白金の単色X線の特性に一致していたことから,対陰極物質の原子量または原子番号と放出される特性X線の波数(波長の逆数)との関連を追究し,13年モーズリーの法則を見いだした。同年の12月にはオックスフォードに移って研究を継続,未知元素同定に特性X線を使用する研究などを行っていたが,第1次世界大戦が始まると志願兵として入隊,15年8月にトルコガリポリ戦死した。
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化学辞典 第2版 「モーズリー」の解説

モーズリー
モーズリー
Moseley, Henry Gwyn Jeffreys

イギリスの物理学者.イートン校オックスフォード大学トリニティ・カレッジで学ぶ.1910年マンチェスター大学の物理学実験助手になり,E. Rutherford(ラザフォード)のもとで放射性物質の原子から放出されるβ粒子の計測実験を行い,高真空と放射能に関する技術を修得した.1912年からW.L. Bragg(ブラッグ)のもとでX線技術を学んだ後,X線の回折実験をはじめ,全元素の特性X線を系統的に測定し,その振動数と原子番号の間の関係式モーズリーの法則を導き,原子番号が実験的に決定でき,しかもそれがN.H.D. Bohr(ボーア)の理論の原子核の正電荷数と等しいと主張した.1913年末にはオックスフォード大学に戻って研究を続けていたが,第一次世界大戦がはじまるとイートン校卒業生の義務感から従軍を志願し,トルコのガリポリ(ゲリボル)半島最南端ヘッレス岬で戦死した.

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百科事典マイペディア 「モーズリー」の意味・わかりやすい解説

モーズリー

英国の物理学者。オックスフォード大学を出て,マンチェスター大学,オックスフォード大学で研究。X線の散乱を研究し,固有X線に関するモーズリーの法則を発見(1913年),X線スペクトル研究の端緒を開いた。第1次大戦中戦死。
→関連項目シーグバーン

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「モーズリー」の意味・わかりやすい解説

モーズリー
Moseley, Henry Gwyn Jeffreys

[生]1887.11.23. ドーセット,ウェイマス
[没]1915.8.10. トルコ,ゲリボル
イギリスの物理学者。オックスフォード大学に学び,マンチェスター大学の講師となる (1910) 。 E.ラザフォードについて放射能を研究していたが,X線分光学の研究に転じ,諸元素の特性X線の波長の測定,比較から,1913年モーズリーの法則を発見,元素分析に画期的な方法を提供した。第1次世界大戦で戦死。

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世界大百科事典(旧版)内のモーズリーの言及

【モーズリーの法則】より

…ここでKsはスペクトル線の種類によって決まる定数である。1913年H.G.J.モーズリーが実験的に見いだしたもので,N.H.D.ボーアの原子模型に理論的な根拠を与えるとともに,原子核の周囲の電子構造解明の手がかりを与え,元素の周期律表は原子量よりも原子番号によって整理されるべきもの,いいかえれば原子番号のほうがより基本的な量であることを明らかにした。X線【細谷 資明】。…

※「モーズリー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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