フランスの作家、伝記作家、評論家。本名エミール・エルゾーグEmile Herzog。ノルマンディーのエルブフの織物工場主の息子。ルーアンのコルネイユ校に在学中、哲学者アランの講義を聴き、終生その影響を受けた。同校を優秀な成績で卒業したが家業に携わり、第一次世界大戦にイギリス軍との連絡将校として従軍。その体験からの小説『ブランブル大佐の沈黙』Les Silences du Colonel Bramble(1918)で文壇に出た。さらに『オグラディ博士の発言』(1922)、『風土』Climats(1928)、『血筋の輪』(1932)などにより心理小説作家としての評価を得た。一方「小説化された伝記」とよばれる『シェリー伝』(1923)、『バイロン伝』(1930)などを発表し好評を博した。第二次大戦後には『ジョルジュ・サンド伝』(1952)、『ユゴー伝』(1954)、『デュマ伝』(1957)、『バルザック伝』(1965)など多数の伝記を執筆し、そのいずれも豊かな資料に裏打ちされ、人間の微妙な内面生活を描いている。『英国史』(1937)、『フランス史』(1947)などの通史、自伝、数多いエッセイなども残した。1938年アカデミー会員に選ばれた。
[菊池映二]
『モーロア著、谷長茂訳『わたしの人生航路』全三巻(1970・二見書房)』▽『水野成夫・小林正訳『英国史』上下(新潮文庫)』▽『平岡昇他訳『フランス史』上下(新潮文庫)』
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フランスの伝記作家,小説家。本名エミール・エルゾーグÉmile Herzog。ルーアンの高等中学校在学中,哲学者アランのもとで学び,大きな影響をうけた。第1次世界大戦中,イギリス軍に勤務したが,このときの見聞をもとにして書いた小説《ブランブル大佐の沈黙》(1918)によって文壇に認められた。その後次々に小説を発表し,とくに《風土Climats》(1928)は繊細な恋愛心理の描写によって大成功を収めた。しかし彼の本領は伝記文学にあり,多数の伝記作品を書いた。なかでも《レリアあるいはジョルジュ・サンドの生涯》(1952),《オランピオあるいはビクトル・ユゴーの生涯》(1954),《プロメテウスあるいはバルザックの生涯》(1965)などは,資料の正確さと小説風のおもしろさを兼ね備えた伝記文学の傑作である。第2次世界大戦中はアメリカなどで講演活動を展開し,祖国の救援運動を行った。また《ある生活技術》(1939)などの評論や《フランス史》(1947)などの歴史作品,イギリス,アメリカに関する数多くの著作も残している。
執筆者:辻 昶
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