ユメハタンポ(読み)ゆめはたんぽ(その他表記)blackspot sweeper

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ユメハタンポ」の意味・わかりやすい解説

ユメハタンポ
ゆめはたんぽ / 夢葉丹宝
blackspot sweeper
[学] Pempheris oualensis

硬骨魚綱スズキ目ハタンポ科に属する海水魚。種子島(たねがしま)、屋久島(やくしま)、奄美(あまみ)大島、八重山(やえやま)諸島、沖縄本島、台湾、アンダマン海、クリスマス島(オーストラリア)、オセアニアなど西太平洋とインド洋島嶼(とうしょ)域に分布する。体高は高く、強く側扁(そくへん)し、体高は体長の約43~48%。体の背外郭は背びれの起部までは緩く湾曲し、その後は尾柄(びへい)に向かってほとんど直線状に降下する。腹外郭は臀(しり)びれ起部まで一様に湾曲し、その後直線状に上昇する。胸部の正中線上には隆起線がない。吻(ふん)は著しく短く、丸い。目は著しく大きく、眼径は体長の約11~14%。両眼間隔幅は狭く、体長の8.2~9.2%。口は大きくて、斜位。上顎(じょうがく)の後端は目の中央部下に達し、下顎は上顎よりも突出する。上下両顎に複数列の微細な歯があり、大きい個体では列数が増えて、口唇の外側にも歯帯がみられる。鰓耙(さいは)は上枝に8~10本、下枝に18~22本。体側鱗(りん)は薄くて弱い櫛鱗(しつりん)で、大きい鱗(うろこ)の下に小さい鱗がある。鱗の上下にはくびれがなく楕円(だえん)形。側線鰓孔の上端から尾びれの後端まで達する。側線有孔鱗数は61~72枚。背びれの起部から側線までの横列鱗数は6~7.5枚。臀びれの基部の2分の1~3分の1は小鱗をかぶる。背びれは1基で、6棘(きょく)9軟条。体の中央部より前方に位置し、基底長は最長鰭条(きじょう)長よりすこし短い。臀びれは背びれ基底の中央部下から始まる。基底長は長く、体長の49~57%で、3棘39~43軟条。尾びれの後端は浅く二叉(にさ)する。体色はやや紫がかった茶褐色赤銅色、黄褐色、銀灰色など変化に富む。背びれの前部は茶褐色あるいは黒色で残りの部分は乳白色。臀びれの基底部に沿って淡い黒色帯が走り、ほかは乳白色。胸びれの基底部によく目だつ大きい黒斑(こくはん)がある。尾びれは一様に茶褐色から赤褐色。沿岸のサンゴ礁域や岩礁域のクレバスや穴の中に生息する。大形個体は単独で、小形個体は同種や同属他種といっしょに群れを形成する。最大体長は19センチメートルほどになる。

 本種は胸びれの基部に黒斑をもつことでリュウキュウハタンポとダイトウハタンポP. ufuagariに似るが、前種は側線有孔鱗数および側線上方横列鱗数が少ないことなどで、後種は背びれの先端のみ黒く、残りの部分は鮮やかな黄色であり、臀びれの外縁に黒帯があることなどで本種と区別できる。

[尼岡邦夫 2023年9月20日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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