ユリ科(読み)ゆりか

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ユリ科」の意味・わかりやすい解説

ユリ科
ゆりか
[学] Liliaceae

単子葉植物。大半は多年草であるが、まれに藤本(とうほん)(つる植物)もある。地下茎がよく発達し、鱗茎(りんけい)、球茎または根茎をもつものが多い。葉は草質、革質で平行脈があるが、網状脈があるものもあり、多くは互生であるが、対生、輪生のものもある。普通は全縁。花は1ないし多数。花序は総状、散状、穂状または束状。花は両性であるが、まれに単性のものもあり、多くは放射相称で、まれに左右相称もある。花被片は6枚で、離生または合生する。雄しべは6本で、葯(やく)は普通は縦裂する。子房は多くは3室であるが、まれに1室のものもあり、多くは上位。胚珠(はいしゅ)は各室に2個から多数あり、まれに1個のものもあり、半倒生。果実は蒴果(さくか)または液果。種子は形態が多様で、膜質の翼や、エライオソームとよばれる付属体をつけるものが多い。世界に約200属、約3000種が知られるが、形態が多様で、科を細分し、ユリ科、ネギ科、サルトリイバラ科など14科以上に分ける説もある。ここでは、広く用いられている分類様式について述べる。

 ヤブラン亜科は果皮が薄く、成熟すると種子が露出する。ジャノヒゲなどがある。以下のものは種子が露出しない。キジカクシ亜科は液果で多年草。アスパラガス、アマドコロスズランオモトなど。シオデ亜科は液果で低木状のつる草。サルトリイバラなど。蒴果で根茎をもつものにシュロソウ亜科(ホトトギスショウジョウバカマなど)、ツルボラン亜科(ギボウシヤブカンゾウなど)、ソクシンラン亜科(ソクシンラン)などがある。蒴果で鱗茎をもつものにユリ亜科(ユリ、カタクリバイモなど)、ツルボ亜科(ツルボ、ヒアシンスなど)、ネギ亜科(ニラ、ネギなど)がある。

[河野昭一 2018年12月13日]

 APG分類では、もとのユリ科はシュロソウ科、サルトリイバラ科、ユリ科、キジカクシ科(クサスギカズラ科)などに分けられた。ネギ属はヒガンバナ科となった。APG分類でのユリ科は16属約650種を含んでいる。

[編集部 2018年12月13日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ユリ科」の意味・わかりやすい解説

ユリ科
ユリか
Liliaceae

単子葉植物ユリ目の1科。単子葉植物としてはイネ科,ラン科に次いで大きな科であり,全世界の熱帯から寒帯,高山帯にいたるまでほぼ全域に分布し,砂漠に近い乾燥地域にも多くの種類がある。全体で約 250属 4000種ほどが知られる。地下に球根や,鱗茎,根茎などの発達しているものが多く,大部分は多年草 (地上部は枯れる宿根草) であるが,熱帯地方に産するユッカ属 Yuccaやリュウケツジュ属 Dracaenaなどは高木状になる。花は典型的な3数性で,外花被片3枚と内花被片3枚があり,おしべ6本,めしべの子房は3室で上位につく。この点,子房下位のヒガンバナ科と区別され,またアヤメ科 (おしべ3本) とはおしべの数などで明瞭に異なる。ユリ類をはじめチューリップ,ヒアシンスなど有名な園芸植物が多く,またアフリカに多いアロエやアメリカ大陸のユッカ,カナリア諸島のリュウケツジュなどもよく知られる植物である。

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世界大百科事典(旧版)内のユリ科の言及

【ユリ(百合)】より

…ユリ科ユリ属Liliumに属する植物の総称。観賞価値の高いものが多く,単子葉植物中,最も大きな花をつけるもの,強い芳香を放つものを含む。…

※「ユリ科」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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