日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤブカンゾウ」の意味・わかりやすい解説
ヤブカンゾウ
やぶかんぞう / 藪萱草
[学] Hemerocallis fulva L. var. Kwanso Regel
Hemerocallis fulva L. form. Kwanso (Regel) Kitam.
ユリ科(APG分類:ススキノキ科)の多年草。ワスレグサ(忘草)ともいう。花は八重咲きで大陸産のホンカンゾウの品種とされているが、その起源については不明の点も多い。根は先端部が紡錘状に肥厚する。葉は根生し左右2列に並び、長さ40~60センチメートル。葉幅はやや広く、4センチメートルに達し、広線形で無毛、全縁。花茎は高さ0.7~1メートル、数枚の小さな包葉があり、茎頂は典型的な二又分枝を示し、黄褐色で赤色の斑紋(はんもん)がある花を数個つける。7~8月に開花するが、三倍体であり結実はしない。日本から中国にかけて広く分布し、平地や丘陵地の斜面、林縁などに生育する。山菜として食用になる。つぼみも食べられる。
[河野昭一 2019年1月21日]