日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ディキシーランド・ジャズ
でぃきしーらんどじゃず
Dixieland jazz
ジャズ用語。「ディキシーランド」あるいは「ディキシー」はアメリカ南部諸州(とくに南北戦争で南軍側に加わった州)の俗称。ジャズでは、ルイジアナ州ニュー・オーリンズで誕生したもっとも初期のスタイルをさす。その特色は、行進のテンポを刻むドラムやチューバのリズムにのって、トロンボーン、トランペット、クラリネットの三管が即興的に崩したメロディーを交錯させ、対位法的な効果のあるアンサンブルを展開するところにある。リズムは四拍子の演奏でも二拍子の感じが強く、ツー・ビート・ジャズtwo beat jazzともよばれる。
なお、古くはこのスタイルで、黒人が演奏するものをニュー・オーリンズ・ジャズ、白人が演奏するものをディキシーランド・ジャズと称していたが、しだいに区別しなくなり、今日では略して単にディキシー、あるいはトラディショナル・ジャズ(略してトラッド・ジャズ)とよんでいる。
[青木 啓]