ラテックス(英語表記)latex

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デジタル大辞泉 「ラテックス」の意味・読み・例文・類語

ラテックス(latex)

ゴムノキの樹皮に傷をつけるとにじみ出る乳白色粘性のある液体。ゴム成分を35~50パーセント含み、これを凝固させて生ゴムとする。合成ゴムでも各種ゴムを作る前のものをいう。

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精選版 日本国語大辞典 「ラテックス」の意味・読み・例文・類語

ラテックス

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] latex ) ゴムの木の樹皮にきずをつけた時流れて出る白い液体。ゴム質の浮かんだコロイド。生ゴムの原料だが、そのままでも手袋、風船などをつくる原料になる。合成ゴムでつくられる同様のものをもいう。〔児童工業物語(1928)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「ラテックス」の意味・わかりやすい解説

ラテックス
latex

ゴムの微粒子が水中に分散し,コロイド状の安定な懸濁液となっているもの。天然ゴムラテックス合成ゴムラテックスがある。ゴムノキの樹皮にナイフで溝状の切込みをつけると牛乳状の液が流れ出るが,これが天然ゴムラテックスである(ゴム)。合成ゴムの多くは乳化重合法で製造されるが,重合終了後,反応液から未反応モノマーを取り除くと合成ゴムラテックスが得られる。ラテックスに凝固剤を加えてゴム分を凝固,分離,乾燥させて固形ゴムを得る。ラテックスは種類によって固形分の含有率も異なるが,天然ゴムラテックスを例にとると,水100に対しておよそ60~70重量部という大量の固形分を含みながら水のようにさらさらと流れる特徴をもっている。ラテックスはその特徴を利用して各種用途に用いられるが,その基本は,安定なコロイドゾルである配合ラテックス(配合剤を添加したラテックス)が成形加工の工程でゲル化することにより賦形され,次いで乾燥,加硫を経て製品となることである。ラテックスにおける加硫も,その原理は固形ゴムの場合と同様で,加硫に先立って各種配合剤が加えられる。

 ラテックスの用途は浸漬製品,キャスト製品,ペーパーコーティング用,カーペットバッキング用,建材,フォームラバーなど多方面にわたっている。浸漬製品は型をラテックスに浸漬したのち引き上げて,型の表面に均一な厚さのゴム薄層を形成させ,次いで乾燥,加硫させたのち型から取り外して製品とするもので,家庭用・手術用ゴム手袋,コンドーム指サック,哺乳瓶用乳首などがこの方法で製造される。キャスト製品は内側に希望する形をもった型を用い,その内面にラテックスを付着させる方法でつくられる。あらかじめ加熱しておいた型の中へラテックスを満たし,所期の厚さにゴムを型内壁へ沈着させたのち,あまったラテックスを取り除く。次いで成形品を型から取り出したのち加熱することにより加硫し,製品とする。ゴム人形などゴム製玩具類がこの方法で製造される。ゴム糸はラテックスをノズルから凝固浴中に押し出し,紡糸したのち加熱して加硫することによって製造される。ペーパーコーティング用ラテックスは,紙にクレー炭酸カルシウムタルク酸化チタンなどの顔料を塗布して高級紙を製造する際,これらのバインダーとしてカゼインデンプンなどと混合して使用されるもので,合成ゴムラテックスの最大の用途である。カーペットパッキング用ラテックスはカーペットの裏に塗布することにより,パイルと基布の接着を行うとともにカーペットの寸法変化を少なくしたり,床面とのすべり防止などにも役立っている。このほか,不織布のバインダー,セメントの性能を向上させるためのセメント配合用,また,アスファルトの耐摩耗性などの性能向上のためのアスファルト配合用など,多方面に利用されている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラテックス」の意味・わかりやすい解説

ラテックス
らてっくす
latex

平均粒径1マイクロメートル程度の微粒子のゴムが水中に分散した乳濁液である。天然ゴムと合成ゴムのラテックスがある。天然ゴムラテックスはパラゴムノキの樹皮に傷をつけて採取される乳液であり、ゴム炭化水素35~40%とタンパク質、脂肪酸、糖類それぞれ1~2%を含む。ゴムの微粒子は負に帯電し、等電点が4.8であり、酸性にすると凝固して生ゴムが分離する。自然にも酵素の作用などで凝固しやすいので、保存剤としてアンモニアを0.6%加える。輸送のためにゴム分を60~70%含む濃縮ラテックスとする。皮膜形成能がよく乾燥皮膜は高い弾力性と強さをもつので、糸ゴム、ゴム手袋、フォームラバー、医療衛生用品、接着剤、カーペット、道路舗装などの用途がある。各種合成ゴムラテックスは乳化重合によって製造されるほか、溶液重合の溶液を乳化剤とともに水中に分散してつくられる。合成ゴムラテックスは天然ゴムラテックスより多量に消費され、なかでもSBR(スチレン・ブタジエンゴム)ラテックスが多く、紙加工、繊維処理、道路舗装、プラスチックの改善、塗料、接着剤などに用いる。BR(ブタジエンゴム)ラテックスはABS樹脂のべースポリマーとして、NBR(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)ラテックスは繊維処理、CR(クロロプレンゴム)ラテックスは、特殊紙加工などの用途がある。合成ゴムラテックスは乳化重合でつくられることが多いので、エマルジョンとよばれることもある。

[福田和吉]

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百科事典マイペディア 「ラテックス」の意味・わかりやすい解説

ラテックス

ゴムノキの樹皮に傷をつけたとき分泌される乳白色の粘稠(ねんちゅう)な液体。ゴム粒子が水溶液(漿液(しょうえき))中にコロイド状に分散した乳濁液で,35〜50%のゴム分のほかに少量のタンパク質,樹脂,糖類などを含む。ゴム粒子は負に,分散相は正に帯電している。酸により凝固するので微アルカリ性にして保存。生ゴムの原料とするほか,ラテックス状態で氷嚢,乳児用の乳首,手袋,コンドームフォームラバー,糸ゴムなどの製造に利用。乳化重合法で製造されるSBRクロロプレンゴムなどの合成ゴムラテックスは天然ゴムラテックスと混合してフォームラバーとするほか,紙の含浸やコーティングなどに使用されることが多い。
→関連項目ゴム接着剤パラゴムノキ

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラテックス」の意味・わかりやすい解説

ラテックス
latex

ゴムのコロイド状水分散物をいう。天然ゴムラテックスはゴム樹の樹皮を傷つけて流出する乳液である。採集したラテックスはゴム分約 30~40%であるため,消費地に送られるものは普通遠心分離またはクリーミング方法により 60%以上に濃縮されている。自然凝固を防ぐため通常 0.7%程度のアンモニアが加えられている。最近はアンモニアを 0.2%程度にし,他の保存剤で置換したものが市販されている。前者を高アンモニアラテックス,後者を低アンモニアラテックスと呼んでいる。合成ゴムラテックスは,乳化重合の場合にはそのままラテックスになるが,溶液中で重合の行われるイソプレンゴムのような場合には界面活性剤と水が加えられ,攪拌してエマルジョン (乳濁液) とし,溶剤を除去してラテックスがつくられる。

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化学辞典 第2版 「ラテックス」の解説

ラテックス
ラテックス
latex

天然または合成ゴム,またはプラスチックの水乳濁液をいう.合成ラテックスは乳化重合法でつくられる.紙や織物の処理剤,擬似皮革,泡ゴム,浸漬成形品,エマルション材料,接着剤などに使われている.

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栄養・生化学辞典 「ラテックス」の解説

ラテックス

 →エマルション

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世界大百科事典(旧版)内のラテックスの言及

【ゴム】より

…その苗木がマレーシア地方に移植され,これが現在の栽培ゴムノキの母体となった。 天然ゴムはゴムノキの分泌するラテックスと称する乳液中に含まれる炭化水素である。ラテックスを分泌する植物は数が多く,220種以上もあるとされ,産地はおもに赤道をはさみ緯度20゜以内の高温多湿な地域である。…

※「ラテックス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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