略称CR。クロロプレンを重合させて得られる合成ゴム。1931年にデュポン社が初めて製造,販売を開始した。当初,デュプレンDupreneという名称であったが,36年にネオプレンNeopreneと改名され今日にいたっている。現在ではデュポン社以外でも製造されるようになったが,その歴史の長さと知名度からネオプレンはクロロプレンゴムの代名詞のように用いられることも多い。太平洋戦争中,アメリカにおいてはGovernment Synthetic Rubber Programにより軍需用にGR-Mの名称で量産された。日本でも1962年以降,数社で製造,販売されている。CRはクロロプレン(2-クロロ-1,3-ブタジエン)を原料に,ラジカル重合開始剤を用いた乳化重合法で製造される。CRの分子構造は一部1,2結合,シス-1,4結合を含むが,大部分がトランス-1,4結合のポリクロロプレンであり,重合温度によってその比率は若干異なる。CRは他のゴムに比べて結晶化しやすく,長期間保存すると,しだいに固くなってくる。耐炎難燃性,耐熱性,耐薬品性,耐候性,接着性などにすぐれ,工業用耐熱コンベヤベルト,炭鉱用コンベヤベルト,電線の被覆用材料,接着剤原料など,多くの分野に使用されている。CRの加硫にはスチレン・ブタジエンゴム(SBR),ブタジエンゴム(BR)などのように硫黄を使用せず,一般に酸化亜鉛,酸化マグネシウムなどの金属酸化物を用いる。
執筆者:住江 太郎
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合成ゴムの一種。クロロプレンを原料として過硫酸カリウムなどのラジカル開始剤を用いた乳化重合によって製造され、トランス-1,4結合80%以上を含むポリクロロプレンからなる。ASTM(アメリカ材料試験協会)の規格による略称はCR。重合のとき分子量調節剤として硫黄(いおう)を加える硫黄変性タイプとメルカプタンを加える非硫黄変性タイプがある。酸化マグネシウムや酸化亜鉛(亜鉛華)などの金属酸化物によって加硫し、ゴム製品とする。歴史的に古く、1931年にアメリカのデュポン社で工業化され、商品名ネオプレンが一般に知られている。天然ゴムやSBR(スチレン・ブタジエンゴム)などの汎用(はんよう)ゴムでは得がたい特性をもった準汎用特殊ゴムである。塩素を含むので比重が大きく、トランス-1,4結合が多いため結晶化しやすい。反発弾性などの機械的性質、耐候性、耐オゾン性、耐熱老化性、耐油性、耐薬品性などが優れ、難燃性であり、ゴム糊(のり)としたときの接着力が強い。電線被覆、耐油性のホースやベルト、窓ガラスのシール材、自動車や産業用の成型部品、および接着剤などの用途がある。
[福田和吉]
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
略称CR.クロロプレンの重合体.ペルオキソ一硫酸カリウムK2SO5を触媒とする乳化重合法でつくられる.金属酸化物を用いて加硫され,耐油性,耐候性,耐薬品性,耐オゾン性がすぐれ,ホース,ベルトなどの各種の工業製品に広く使われている.[CAS 9010-98-4]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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