クロロプレンゴム(読み)くろろぷれんごむ(英語表記)chloroprene rubber

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クロロプレンゴム」の意味・わかりやすい解説

クロロプレンゴム
くろろぷれんごむ
chloroprene rubber

合成ゴムの一種。クロロプレンを原料として過硫酸カリウムなどのラジカル開始剤を用いた乳化重合によって製造され、トランス-1,4結合80%以上を含むポリクロロプレンからなる。ASTM(アメリカ材料試験協会)の規格による略称CR。重合のとき分子量調節剤として硫黄(いおう)を加える硫黄変性タイプとメルカプタンを加える非硫黄変性タイプがある。酸化マグネシウムや酸化亜鉛(亜鉛華)などの金属酸化物によって加硫し、ゴム製品とする。歴史的に古く、1931年にアメリカのデュポン社で工業化され、商品名ネオプレンが一般に知られている。天然ゴムやSBRスチレン・ブタジエンゴム)などの汎用(はんよう)ゴムでは得がたい特性をもった準汎用特殊ゴムである。塩素を含むので比重が大きく、トランス-1,4結合が多いため結晶化しやすい。反発弾性などの機械的性質、耐候性、耐オゾン性、耐熱老化性、耐油性、耐薬品性などが優れ、難燃性であり、ゴム糊(のり)としたときの接着力が強い。電線被覆、耐油性のホースやベルト、窓ガラスのシール材、自動車や産業用の成型部品、および接着剤などの用途がある。

[福田和吉]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クロロプレンゴム」の意味・わかりやすい解説

クロロプレンゴム
chloroprene rubber

クロロプレンをゴム状重合して製造される合成ゴム。合成ゴムのなかで最も初期に開発されたものの一つ。一般に耐酸,耐熱,耐候,耐老化などの環境抵抗性を有するが,重合可能なモノマー (単量体) との共重合などによる変性により,金属酸化物により架橋された高強度・高弾性の硫黄変性型,加工性のすぐれた非硫黄型,接着剤などの用途向きの高結晶化型などの区別がある。耐油ホース,工業用被覆材,特殊手袋,電線被覆など各方面に利用されている。

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