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リニアモーターカー りにあもーたーかー linear motor car

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知恵蔵2015の解説

リニアモーターカー

磁石の吸引力と反発力で回転運動作り出す普通のモーターに対して、直線状に引き伸ばして、吸引力と反発力をそのまま推進力とするリニアモーターを使った電車。東京都営の地下鉄大江戸線のように、車輪で走行はするが推進力にはリニアモーターを利用しているタイプもある。山梨県の新リニア実験線で走行試験が繰り返されているのは、超伝導を用いた磁気浮上リニアモーターカー。推進力を利用して誘導電流を発生させて浮かび上がる。車両には軽くて強力な超伝導磁石を搭載している。1997年に走行実験を開始、2003年に有人で時速581kmを記録した。00年には運輸省(当時)の実用技術評価委員会が、「超高速大量輸送システムとして、実用化に向けた技術上のめどは立った」と評価したが、営業コストを下げるための技術開発が課題となっている。

(平栗大地 朝日新聞記者 / 松村北斗 朝日新聞記者 / 2007年)

リニアモーターカー

リニアモーターによって駆動する鉄道などの車両のこと。様々な方式のものが存在する中でも、東京―名古屋間で2027年開業を目指すJR中央新幹線で使われる、超電導電磁石を用いた磁気浮上(マグレブ)式のリニアモーターカーが注目されている。
電車などのモーターは、コイル(電磁石)や永久磁石組み合わせ、軸を持つ電気子(ロータ)と、それを取り囲む固定された界磁(ステータ)で構成されている。この両者の磁界と電流の間に働く力により生じる軸の回転運動を、動力として取り出す。リニアモーターは、ステータを切り広げて平面上に並べ、ロータをその上に置けば、ロータはステータ上を直線的(リニア)に運動する、という原理だ。実用的には、簡素な構造となるように、ロータの役割をする線路上をステータとなる車両が動く仕組みを採用している。ステータとロータが分かれているので、車両側はステータだけで形状がコンパクトになる。直線的な駆動が得られるので、電気シェーバーや工作機器など様々な機器で使われている。
こうしたコンパクトさや大きな駆動力により、リニアモーターカーはトンネル断面を小さく出来て、急坂勾配や急カーブにも強い。このため、1990年に営業開始した大阪市営地下鉄長堀鶴見緑地線を始め、新規開業する地下鉄路線でよく採用されている。このタイプはリニアモーターで駆動するが、従来の電車などと同様にレール上を鉄輪で走る。だが、リニアモーターの構造上は、鉄輪が回転する必要はない。車体が浮上すれば摩擦や騒音、振動などは大幅に減少するため、この浮上方式を採用したのが、愛知高速交通東部丘陵線(通称リニモ)のHSSTや中国の上海トランスラピッドだ。この方式は、車体下部左右にあるコの字型のモジュールがT字型のガイドレールを外側左右から挟み込み、レールの磁石がモジュール下側の磁石と引き合ってつり上げ車体を支える。そのままでは更に浮上・接近して互いに吸い付くし、かといってすき間が大きくなると磁力の相互作用が弱まり車体は落下する。この調整には磁力の精密な制御が必要となり、浮上時のレールとモジュールのすき間は1センチメートル程度に限られる。
しかしながら、地震が多発する日本の国土で安全に高速走行するには、路面とのすき間となる浮上高10センチメートル程度が求められる。この要求を解決するのがJRマグレブ式だ。同方式では車両に超電導磁石を搭載している。これが高速で通過すると、線路両壁面に設けられた浮上・案内コイルに誘導電流が流れる。コイルは8の字型に巻かれNS両極が垂直方向に並んだ電磁石となるため、車両を押し上げる力と引き上げる力の両方が発生して一定の位置まで浮上させる。また、両壁面のコイルは電気的に接続されている。このため、車両が左右に偏るとこれを引き戻す力が生じ、車両が中央になるよう案内する。超電導コイルによる強い磁力がこれらを可能にした。なお、超電導のために低温を維持する冷凍機他、車内で必要な電力はスマートフォンの非接触充電のような、誘導集電によって路面から取り入れる。超電導磁気浮上式リニアモーターカーは航空機よりもはるかに少ないエネルギー消費で、時速500キロの営業運転を実現する。

(金谷俊秀 ライター/2014年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

リニアモーターカー

磁気浮上式の場合、磁力で車体を約10センチ浮かせたまま走る次世代高速鉄道。軌道上に磁気コイルを並べ、車両に取り付けた超電導磁石との間で生じる吸引力と反発力を利用する。旧国鉄時代の62年に研究が始まり、03年に有人で世界最高の時速581キロを記録。国は甲府、名古屋、奈良を経由して東京―大阪を結ぶ「中央新幹線」の経路を示しているが、土地調査などが終わらず、具体的な整備計画が決まっていない基本計画の段階だ。東海道新幹線リニア新幹線完成1964年10月1日2025年(?)最高時速200キロ(開業時)581キロ(実験時)建設費用3800億円8兆〜10兆円資金調達国費、世界銀行の融資など未定事業主体旧国鉄未定(JR東海が希望)計画の理由高度成長に伴う旅客需要に応えるため東海道新幹線のバイパスの役割

(2007-08-04 朝日新聞 朝刊 3総合)

出典|朝日新聞掲載「キーワード」
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デジタル大辞泉の解説

リニアモーター‐カー(linear motor car)

リニアモーターを駆動力とする電動車。路壁面に並べた推進用地上コイルに電流を通して電磁石にし、車体にある超伝導磁石との間の吸引・反発力を利用して直進させる。浮上して進むので摩擦が少なく、時速500キロ以上での走行も可能。

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百科事典マイペディアの解説

リニアモーターカー

リニアモーターを車両の駆動・制動に利用した軌道系の車両をリニアモーターカーといい,固定子またはリアクションレールの一方を車体に,他方を地上に取り付ける。リニアモーターカーは,動力の伝達が一般の鉄道のように車輪とレールの粘着を介さず,直接に行われるので,リニアモーターの電気的特性の範囲内で動力の大きさを任意にできる。
→関連項目中国高速鉄道超高速鉄道超電導材料超伝導磁気浮上式鉄道

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世界大百科事典 第2版の解説

リニアモーターカー【linear motor car】

リニアモーターによる推進力を利用した軌道系の車両。ふつうのモーター(電動機)が円形の静止部分と同じ軸上の円形の回転部分の間に磁力が働いて回転運動を起こすのに対し,リニアモーターでは両部分を直線的にのばした形となっており,磁力が働くことによって直線運動が起こることになる。 リニアモーターカーはこの原理により車両を推進するものであるが,大別して次の二つの方向で研究開発が行われている。一つは通常の鋼鉄車輪で走る電車に装着するものである。

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大辞林 第三版の解説

リニアモーターカー【linear motor car】

リニア-モーターで動かす車両。磁気で車体を浮かせて走るため、摩擦が小さく、高速走行が可能。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

リニアモーターカー
りにあもーたーかー
linear motor car

リニアモーターで駆動される車両。リニアモーターは回転する電動機(モーター)の原理を直線上に展開し直線運動に応用したものであり、非接触で走行する浮上式鉄道などの推進方式として用いられる。リニアモーターカーという用語は国鉄の浮上式鉄道宮崎実験線の最初の実験車両ML-500の名称として使われてきた。しかし、実用化され、単独車両ではなく編成で構成されるようになってからは、リニア地下鉄、リニアメトロリニア新幹線などと、車両だけでなくシステム全体を示す言葉が使われる場合のほうが多い。
 リニアモーターの方式としては、誘導電動機の原理によるリニアインダクションモーター(LIM)と、同期電動機の原理によるリニアシンクロナスモーター(LSM)とに大別できる。また構成としては、電力を供給する固定子側を可動部(車両)とする車上1次方式(ショート・ステータ方式ともいう。ステータは固定子の意)と、固定子側を固定部(軌道)とする地上1次方式(ロング・ステータ方式)とに分けられる。これらの組合せは4種類考えられるが、実際には低速・中速用としてLIM方式で2次側導体をアルミシートとする車上1次方式と、高速用としてLSM方式で駆動用電力を地上側で供給する地上1次方式の2種類が主流である。
 LIMの車上1次方式は地上側をアルミシートだけで単純に構成出来るメリットがあるが、電動機としては端効果などが生じ効率は良くなく、大容量となる高速列車には不利となる。
 LSMの地上1次方式は、界磁と電機子との間での電力のやりとりがないため空隙(くうげき)を大きくできる、端効果がないため効率がよい、などの長所を有する。しかし、地上側に駆動用コイルを連続的に敷設する必要があり、同期のために移動体の位置信号も必要となり、1列車に1電力変換装置を対応させる必要が生じる。
 鉄車輪方式で最初に実用化されたものは、カナダのバンクーバーのスカイトレイン(スカイトレンとも)であり、1986年に開業した。日本では、リニアモーター駆動とすることにより、車輪の径を小さくし、車両の床面を下げ、車両の断面積を小さくすることでトンネル断面を小さく抑え、急勾配(こうばい)・急曲線にも対応することで建設コストを下げることができるため、地下鉄対応で開発が進められた。別名リニアメトロとよばれる。大阪市の市営地下鉄7号線(長堀鶴見緑地線)で1990年(平成2)に最初に実用化し、大阪市営地下鉄8号線(今里筋線)、東京都の都営12号線(大江戸線)や、福岡市営七隈線、横浜市営グリーンライン、仙台市営東西線などで採用されている。海外では、カナダのトロント、マレーシアのクアラルンプール、中国北京空港線など高架軌道用に適用される場合が多い。
 浮上式との組合せとしては、常電導磁気浮上方式での愛知高速交通の東部丘陵線(名古屋市名東区藤が丘―豊田市八草町間8.9キロメートル)において「リニモLinimo」の愛称で2005年(平成17)3月から、最高時速100キロメートルでの営業運転を行っている。
 海外ではドイツの超高速鉄道トランスラピッドTransrapid(常電導磁気浮上方式)の開発が進み、ドイツ国内で実用路線への採用が種々検討されたが、いずれも工事費の面で折り合いがつかず、実用化には至らなかった。しかし、この技術を用いて、2001年中国において上海(シャンハイ)市内と上海浦東(プートン)国際空港間約30キロメートルを最高時速430キロメートルで結ぶ実用線建設が決定、2004年から営業運行されている。2013年の時点で、これが唯一の高速(時速250キロメートル以上をいう)でのリニアモーターカーである。
 日本では、超電導磁気浮上方式で時速500キロメートルの高速走行を目ざして、宮崎実験線で種々の実験が行われたあと、山梨リニア実験線において開発が進められている。先行工事区間でのMLX01型車両第1編成3両での走行実験が1997年4月から始まり、1999年にはMLX01による有人走行で世界最高時速552キロメートルを記録した。2003年12月には有人走行で時速581キロメートルを記録、世界最高時速を更新した。
 日本ではリニアモーターカーというと、この超電導磁気浮上式鉄道をさすことが多い。[佐々木拓二]
『宇佐美吉雄著『リニアモータ』(1974・出光書店) ▽京谷好泰著『リニアモーターカー』(1990・日本放送出版協会) ▽澤田一夫・三好清明著『翔べ!リニアモーターカー』(1991・読売新聞社) ▽西亀達夫著『「超高速陸上交通機関」研究の幕開け』(1999・日本図書刊行会) ▽佐々木拓二著「リニア鉄道に対する考察」(『鉄道車両と技術』通巻第105号所収・2005・レールアンドテック出版) ▽鉄道総合技術研究所編『ここまで来た!超電導リニアモーターカー』(2006・交通新聞社) ▽鉄道の百科事典編集委員会編『鉄道の百科事典』(2012・丸善) ▽佐々木拓二著「実験車両時代の思い出」(『鉄道車両と技術』通巻第189号~190号所収・2012・レールアンドテック出版)』

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ) この辞書の凡例を見る
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世界大百科事典内のリニアモーターカーの言及

【磁気浮上式鉄道】より

… 一方,推進方法については,浮上式を採用するとなると車輪とレールの間のすべり摩擦が働かず,したがってそれによる車両の推進は不可能である。このため,プロペラの回転による方式,ジェット推進による方式およびロケット推進による方式なども,一時は実物実験まで行って研究が進められたが,現在,主力的に開発が進められているのはリニアモーターを用いる方式(いわゆるリニアモーターカー)である。現在,日本,ドイツなどで開発が進められている浮上式鉄道は,いずれも推進にリニアモーターを用いた磁気浮上方式である。…

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