リューダース帯(読み)リューダースタイ

化学辞典 第2版 「リューダース帯」の解説

リューダース帯
リューダースタイ
Lüders band

降伏点の明瞭な炭素鋼に引張荷重をかけると,上部降伏点で鋭く降伏が起こり,応力は急激に下部降伏点に降下する.これは上部降伏点で試験片中の応力集中の起こりやすい小さい領域で局部的なすべり変形が開始し,この領域が広がっていくためで,変形はこの領域(リューダース帯)の先端のみで起こる.引張試験片中ではこのリューダース帯は試験片の肩の部分より発生し,反対側の肩で発生したものと交差したり,また反対側の肩で反射を繰り返して進行する.試験片の表面がよく研磨してあれば肉眼でその進行が観察できる.このリューダースひずみは深絞り作業において“ストレッチャストレイン”を起こしたり,これに関連するひずみ時効脆化を起こすので好ましくない.リューダース帯やストレッチャストレインは軟鋼のみでなく,軟鋼と同じ鋭い降伏点を示すアルミニウム-マグネシウム合金でも起こる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リューダース帯」の意味・わかりやすい解説

リューダース帯
リューダースたい
Lüders band

結晶塑性変形 (→永久ひずみ ) において部分的に帯状に変形した領域が生じ,それが試料を伝わり,変形が進行する場合がある。この帯をリューダース帯と呼ぶ。この場合,明瞭な降伏点が現れる。α鉄などの多結晶の塑性変形などにみられる。これは転位結晶粒界を通過できずにたまり,その応力集中によって他の結晶粒の変形が進行することによって生じる。

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法則の辞典 「リューダース帯」の解説

リューダース帯【Lüders band】

炭素窒素などを含む鉄鋼を引張成形したときに表面に出現する帯状の微細なしわで,塑性変形がこの部分に集中して起こるためにみられる現象である.リューダース線*という用語の用いられる分野もある.

出典 朝倉書店法則の辞典について 情報

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