ルカによる福音書(読み)ルカによるふくいんしょ(英語表記)Gospel according to Luke

精選版 日本国語大辞典 「ルカによる福音書」の意味・読み・例文・類語

ルカによるふくいんしょ【ルカによる福音書】

新約聖書第三書。四福音書一つ。ルカ著。八〇年代に成立イエス生涯と教えを詳述し、キリスト教の真理性を史実に基づいて証明しようとしたもの。文学的にもすぐれた叙述で、最も美しい福音書といわれる。ルカ伝

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デジタル大辞泉 「ルカによる福音書」の意味・読み・例文・類語

ルカによるふくいんしょ【ルカによる福音書】

新約聖書、四福音書の第3書。紀元80年代に書かれ、著者ルカは使徒パウロの協力者。新約聖書中最も文学的にすぐれた歴史的叙述とされる。ルカ福音書。ルカ伝。→福音書

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改訂新版 世界大百科事典 「ルカによる福音書」の意味・わかりやすい解説

ルカによる福音書 (ルカによるふくいんしょ)
Gospel according to Luke

新約聖書の一つ。パウロの同労者であった医者ルカにちなんで呼ばれるが実際の著者名は不詳である。後90年ころの成立で,特定の個人〈テオピロ閣下〉に献呈されている。その献辞(1:1~4)が示すように,著者はイエスの歴史を〈順序正しく書く〉歴史家であろうとしている。《マルコによる福音書》,イエスの語録集など彼が手にしていた資料をこの視点から編集し,かつ当時の世界史との関連づけ(2:1,3:1)も行っている。《使徒行伝》との二部作の根底には,イエスの歴史が一方では旧約聖書以来の救済史成就であり,他方では教会史と新しい世界史を開くいわば〈時の中心〉であるという独自の歴史理解がある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ルカによる福音書」の意味・わかりやすい解説

ルカによる福音書
ルカによるふくいんしょ
Kata Loukan; The Gospel According to Luke

新約聖書4福音書の一つ。マタイマルコ福音書とともに共観福音書をなす。『マルコによる福音書』を枠組みとし,イエスの生誕,少年期,復活の記録およびそのほかルカ固有の個所を除いてはマタイと類似ないしほとんど逐語的同一性を示す語句が多く,両者に共通の資料を想定させる (2資料説) 。その基調は普遍主義的であり,イエスは「異邦人を照す光」とされる。一般に『使徒行伝』と同一作者によるとされ,それに『行伝』の一人称記録の部分を考慮にいれれば,パウロの同行者ルカの作とする伝承もあながち否定しえない。『行伝』にパウロ書簡の影響のないことから 80年以降の著作とは考えにくい。上限はエルサレム陥落 (70) とされる。

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世界大百科事典(旧版)内のルカによる福音書の言及

【福音書】より

…後2世紀以後の呼称で,イエスの言葉と業(わざ)を相互に連関させ,その死にいたるまでを叙述する文書を指す。最古の《マルコによる福音書》は後70年ころ,《マタイによる福音書》と《ルカによる福音書》が80‐90年,《ヨハネによる福音書》が100年ころの成立と考えられる。〈……による福音書〉という語法には,元来一つであるべきイエスの救いの〈福音〉を異なる複数の視点から表現するものという意味が含まれる。…

【ルカ】より

…パウロの真正の手紙ではない《テモテへの第2の手紙》も,ルカが獄中でパウロとともにあったと記しているが,詳細は不明である。ルカの名まえに関心が寄せられるのは,彼が新約聖書中の《ルカによる福音書》および《使徒行伝》の著者ではないかとしばしば推測されるからである。そのことの最古の証言は2世紀後半の〈ムラトリ正典〉断片であり,同時代のエイレナイオスもそう考えている(《異端反駁》)。…

※「ルカによる福音書」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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