出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報
ワイル病、
重症型であるワイル病の死亡率は5~40%であり、治療開始時期が遅れるほど死亡率は高くなる傾向にあります。軽症型レプトスピラ症の予後は一般に良好です。
レプトスピラ症は急性の発熱性疾患です。臨床症状は軽症のものから、
非重症型レプトスピラ症では、あらゆる発熱性の疾患が鑑別対象となりますが、海外の流行地域(東南アジア、中南米、インド、中国など)への渡航歴、病原体に汚染された水などとの接触機会があった場合は、レプトスピラ症も疑う必要があります。通常、ヒトからヒトへの感染はありません。
軽、中度のレプトスピラ症の場合には、ドキシサイクリン(ビブラマイシン)を7日間服用することがすすめられています。ワイル病(重症例)の場合は、ペニシリン系抗生剤(ペニシリンG、サワシリン)による治療が一般的です。
回帰熱の場合と同様に、レプトスピラ感染症の治療にペニシリン系抗生剤が用いられた場合は、ヤーリッシュ・ヘルクスハイマー反応(抗生剤投与後に起こる、発熱、低血圧を主症状とするショック)がみられることがあります。
近年、東南アジア、中国、インド、オーストラリア、中南米でレプトスピラ症の大流行がありました。またマレーシア、米国で行われたトライアスロン大会でも河川での競技が原因で患者さんが発生しています。海外での流行情報などは国立感染症研究所のホームページで見ることができます。
2003年にレプトスピラ感染症が感染症法4類に指定され、日本での発生状況が少しずつ明らかになってきました。沖縄県などでは河川でのレジャー、労働により患者さんが発生しています。これら地域の淡水域でのレジャーなどには注意が必要です。
このほかの推定感染源として、農作業、ネズミとの直接・間接的接触が考えられています。
川端 寛樹
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