レール(読み)れーる(英語表記)rail

翻訳|rail

デジタル大辞泉 「レール」の意味・読み・例文・類語

レール(rail)

列車の車輪を支え、一定方向に円滑に走らせるために敷く細長い鋼材。標準長は25メートル。軌条。
引き戸の戸車やカーテンを走らせるための、金属製などの棒状の部材。「カーテンレール
物事を進行させるための段取り。軌道。「交渉のレールを敷く」
[類語]線路軌道軌条

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精選版 日本国語大辞典 「レール」の意味・読み・例文・類語

レール

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] rail )
  2. 鉄道車両の車輪を直接支え、進む方向を定め、また、車輪の回転を円滑にするための鋼鉄製の細長い条鉄。断面が「エ」の字型のものが普通だが、用途によって種々の型がある。軌条。
    1. [初出の実例]「根津を経て上野へ達する線路はレールの布設中なるが」(出典:朝野新聞‐明治一六年(1883)一二月七日)
  3. 物が円滑に動くように方向を定めて取りつける、金属などの棒状のもの。
    1. [初出の実例]「氏は歩行自由ならざる為め、少時同船舷のレールに縋り、自然にボートに落ち」(出典:風俗画報‐二八九号(1904)第三次旅順閉塞)
  4. 比喩的に、物事を円滑に進行させるために事前に行なう準備。また、あらかじめ決められた進路。「レールに乗る」「交渉のレールが敷かれる」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「レール」の意味・わかりやすい解説

レール
れーる
rail

鉄道車両の荷重を直接支持して枕木(まくらぎ)に分散させるとともに、平滑な走行面を与え車両を誘導する特殊断面形状をした帯状の鋼製品。

[福山富士夫]

種類

断面形状と質量によって区分される。世界各国で、それぞれ違った断面形状が使用されている。日本では日本工業規格(JIS(ジス))‐E1011(普通レール)と、JRの規格(JRS)で規格化され、1メートル当り計算質量で区別している。

[福山富士夫]

質量による区分

現在のJIS規格の種類は、30キログラム、37キログラム、50キログラム、60キログラム、40キログラムN、50キログラムNの6種類である。標準長は25メートルで、継目板によって接続して使用する。しかし、車両の乗り心地、騒音、軌道保守、レール損傷など多くの面から、継ぎ目部は線路の最大の弱点となっている。JRでは25メートルレールを溶接した200メートル以上のレールを主要線区に使用してロングレールとよんでいる。

[福山富士夫]

断面形状

頭部腹部、底部から構成されている。つねに車輪が接触する頭部は、接触による摩耗を最小に抑え、また摩耗による断面の減少に対しての余裕のある断面形状とし、車両の円滑な走行を図っている。腹部は車両の荷重を頭部から底部に伝達する部分で、十分な剛性をもちながら材料の使用量を最低にする考慮がなされる。底部の形状は、枕木上に安定して定着し、車両重量による横転への抵抗力があり、しかも、全体の断面の均衡、製造上の圧延条件、長期に使用した場合の腐食による断面減少などを考慮して決定する。

[福山富士夫]

品質

鋼は鉄と炭素合金で、用途によって配分量が異なる。レール鋼は炭素が多い高炭素鋼で、鉄、炭素、ケイ素、マンガン硫黄(いおう)、リンによって構成されている。炭素は鉄と化合してセメンタイトとよばれる炭化鉄の硬い結晶になり、鉄だけの軟らかいフェライトの結晶の中に層状に分布する。炭素が多いほど硬く、少ないほど軟らかい鋼となるわけである。ケイ素は、溶鋼が固まる際に気泡となって残留する酸素を除去する脱酸剤として作用する。マンガンは、脱酸剤とともに、靭性(じんせい)(ねばり強さ)を低下させる硫黄を除去する脱硫剤としての役目をする。硫黄とリンは製鉄原料中に含有されているが、鋼を劣化させる有害元素なので、できるだけ少なくすることが必要である。

 レールの強さ、すなわち機械的性質は、引張り強さと伸びとで表される。引張り強さが大きいほど耐久力があるとされているが、伸びは小さくなる。

[福山富士夫]

日本でのレールの使用

1872年(明治5)新橋―横浜間の開業当初は、頭部と底部が同じ断面の双頭レールが使用されていた。その後、1906年(明治39)には30キログラムと37キログラムレールが、28年(昭和3)には50キログラムレールが採用された。第二次世界大戦後、61年(昭和36)に、40キログラムNと50キログラムNレールが国鉄で使用され始めた。64年開業の東海道新幹線には50キログラムTレールが、67年の山陽新幹線には60キログラムレールが使われた。旧国鉄区間では、1965年から上級線区には60キログラムレール、下級線区には50キログラムNレールを使用することが決められた。

 急曲線区間での外軌側レールは、直線区間に比べて摩耗速度が速いので、レール頭部に焼入れ・焼戻しの熱処理をした頭部熱処理レールが使用されている。また25メートルの標準長レール区間では、継ぎ目部分の衝撃に耐えるために、レールの端の頭部に熱処理を施した端頭部熱処理レールが使われている。

[福山富士夫]

『加藤八州夫著『レール』(1978・日本鉄道施設協会)』


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改訂新版 世界大百科事典 「レール」の意味・わかりやすい解説

レール
rail

軌条ともいう。車両をスムーズに誘導走行させるとともに,車両の荷重を車輪を介して支持し,車輪の走行抵抗を減らすために用いる細長い鋼材。鉄道においては軌道の重要な構成要素であり,車両の荷重をまくら木を通じて路盤に広く分布させる役割を有している。レールは,長期間の使用に耐えうる構造および品質を有し,かつ,経済性も兼ねそなえていなければならない。1872年新橋~横浜間に鉄道が開通した当時は,錬鉄製の双頭レールが用いられた。これは,1837年,イギリスで考案されたもので,上下を転倒して再使用するため頭部と底部が同じ断面となっている。しかし,使用に際し,底部の固定されている個所が損傷したり,横方向の荷重に対しては不安定であるなどの欠点を有していたために,底部を平らにして安定度を高め,かつ,まくら木に固定しやすい平底レールに移り変わった。鋼製平底レールは83年東海道本線にイギリス製のレールを使用したのが最初である。レールの大きさはふつう1m当りの重量をkgで表したもので示される。なお,ケーブルカーなどでは特殊な形状のレールが用いられることもあり,また鉄道以外でもクレーン,エレベーターなどにもレールが利用されている。
鉄道
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百科事典マイペディア 「レール」の意味・わかりやすい解説

レール

軌条とも。クレーン用,エレベーター用などもあるが,主として鉄道で,車両を誘導して走行させるとともに,車輪の走行抵抗を減らすために用いられる細長い鋼材。タイプレートを介して枕木(まくらぎ)に締着する。一般に高炭素鋼を,分岐器など摩耗の激しい場所にはマンガン鋼を使用。1m当りの重量で大きさを示し,主要線区では60kgレールが用いられている。
→関連項目軌道(鉄道)

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サーフィン用語集 「レール」の解説

れーる 【レール RAIL】

サーフボードのアウトラインの部分。ターンをする時、このレール部分が最初に水に入っていくので、その乗り手の体重や筋力、波の大きさやパワーによって微妙に異なるシェープがなされる。

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世界大百科事典(旧版)内のレールの言及

【クイナ(秧鶏)】より

…湿地や川岸の草むらの中の地上に巣をつくり,6~7月に1腹6~7個の卵を産む。 クイナ科Rallidae(英名rail)の鳥は約140種からなり,全世界に広く分布している。全長約10~40cm。…

【鉄道】より

…さまざまな交通機関が登場し,相互に激しい競争を展開している状況のもとでは,鉄道に固有な長所や魅力(反面としての短所)を見定めることにより,交通体系全体に占める鉄道の適切な役割分担を検討しなおし,鉄道企業の運営上の難問題を解決させるための有効な手段を講じることが必要とされる。
[鉄道の種類]
 鉄道には,道路外の鉄道,地下鉄道,路面鉄道などの〈普通鉄道〉のほか,ケーブルカー(鋼索鉄道),ロープウェー(空中索道),トロリーバス(無軌条電車),モノレール,案内軌条式鉄道,さらにはスキー場や夏山のリフトのような索道が含まれ,普通鉄道以外のものはとくに〈特殊鉄道〉と呼ばれる。案内軌条式鉄道は,札幌市の地下鉄,大阪や神戸の〈新交通システム〉などで実用化されている。…

※「レール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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