ロア(英語表記)Gabrielle Roy

改訂新版 世界大百科事典 「ロア」の意味・わかりやすい解説

ロア
Gabrielle Roy
生没年:1909-83

カナダ小説家。フランス系。第2次大戦下のモントリオール庶民哀歓を描いた小説《かりそめの幸福》(1945)と,《銀行員アレクサンドル・シェヌベール》(1955)が彼女の文名を高からしめた。ほかに生地マニトバ州に材をとった短編小説集《鷭(ばん)の巣くう所》(1950),《デシャンボー通り》(1955)や北極カナダを舞台にした小説《秘密の山》(1961),短編小説集《休むことを知らぬ川》(1970)など,いずれも珠玉の作品として評価が高い。彼女のほとんどの作品は英訳され,イギリス系カナダ人にも広い読者層を有する。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ロア」の意味・わかりやすい解説

ロア
Roy, Claude

[生]1915.8.28. パリ
[没]1997.12.13. パリ
フランスの詩人,批評家,小説家。本名 Claude Orland。初めは右翼系の『アクシオン・フランセーズ』紙に拠ったが,L.アラゴン影響を受けて共産党員となり,抵抗運動に参加。 1956年離党。いきいきとした知性あふれる文体と明快で誠実な態度で,広範な執筆活動を行う。主著詩集『唯一の詩』 Un seul poème (1954) ,小説『夜は貧者たちのマント』 La Nuit est un manteau des pauvres (48) ,『愛する不幸』 Le Malheur d'aimer (58) ,評論『アラゴン』 Aragon (45) ,自伝的エッセー『私』 Moi je (69) ,『私たち』 Nous (72) 。

ロア
Roy, Jules

[生]1907.10.22. アルジェリア,ロビゴ
[没]2000.6.15. フランス,ベズレー
フランスの小説家。長年空軍に勤務。ヒューマニズムあふれる筆致で戦争を扱った小説がある。『幸福の谷間』La Vallée heureuse(1946)でルノドー賞受賞。ほかに『ディエンビエンフー陥落』La Bataille de Dien Bien Phu(1963),『中国で経験したこと』Le Voyage en Chine(1965),アルジェリアの諸相を描いた 6部作(1968~75)などがある。1958年にはそれまでの作家活動に対して,アカデミー・フランセーズの文学大賞を贈られた。

ロア
Roy, Pierre

[生]1880.8.10. ナント
[没]1950.9.26. ミラノ
フランスの画家。父に絵を学んだのち,パリに出て 1904年から J.ローランス師事フォービスムの画家や詩人 G.アポリネールなどの影響を受けながら劇場装飾を手がけていたが,25年シュルレアリスム運動に参加。構築性,幻想性,緻密さを融合した独自な作風絵画を生んだ。

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世界大百科事典(旧版)内のロアの言及

【スペイン演劇】より

…〈黄金世紀〉の国民演劇の特色は,まず第一に民衆劇であったこと,そして,国王への忠誠,カトリックの信仰,名誉の感情の三つを大きな柱としたことにある。作品は3幕から成り,上演の前に前口上〈ロアloa〉があり,幕間にはエントレメスや踊りが挟まれ,最後は歌や踊りでにぎやかに公演を終わった。作品も役者も劇場も厳しい監督下にあり,官許の劇団と,それ以外の旅回り専門の劇団とがあった。…

※「ロア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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