ロドプシン(英語表記)rhodopsin

翻訳|rhodopsin

デジタル大辞泉 「ロドプシン」の意味・読み・例文・類語

ロドプシン(rhodopsin)

視紅しこう

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精選版 日本国語大辞典 「ロドプシン」の意味・読み・例文・類語

ロドプシン

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] rhodopsin ) 視細胞一種で、棒細胞に含まれる感光性色素蛋白質光吸収による構造変化が視覚の第一段階として働く。視紅。桿状体視物質。

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改訂新版 世界大百科事典 「ロドプシン」の意味・わかりやすい解説

ロドプシン
rhodopsin

視紅visual purpleともいう。網膜杆状体かんじようたい)の外節に含まれる紫紅色の色素タンパク質で,光の受容体として機能する。網膜には2種類の視細胞,錘状体と杆状体がある。前者は強い光に反応して色覚をつかさどり,後者は弱い光のもとで明暗を識別するが,色覚には関係しない。ロドプシンは,細胞内のディスク膜の成分である分子量3万8000のオプシンopsinに,ビタミンAの誘導体11-シス-レチナールretinalが結合した複合タンパク質である。

ビタミンAが欠乏するとロドプシンの合成が損なわれ夜盲症の原因となる。光を受けたロドプシンは一連の複雑な光化学的異性化反応を経て,最終的に全トランス-レチナールとオプシンに解離し,それに伴って杆状体細胞膜に一過性の膜電位変化が起きる結果,視神経が刺激されて視覚が生じる。全トランス-レチナールは暗所で異性化して再び11-シス-レチナールになり,オプシンと再結合してロドプシンを再生する。ある種の好塩性細菌がもつバクテリオロドプシンは,光エネルギーを利用して水素イオンH⁺の能動輸送を行い,一種の光合成色素として機能している。
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化学辞典 第2版 「ロドプシン」の解説

ロドプシン
ロドプシン
rhodopsin

視細胞の膜に多数埋め込まれた光受容タンパク質で,膜7回貫通型のタンパク質部分(オプシンという)の中央に,光センサーとなるレチナール(アルコールレチノールが酸化されてできるアルデヒドレチノール)が結合している.レチナールの光異性化がロドプシン分子の構造変化を引き起こし,それがきっかけとなって視細胞内で一連の反応が起こり,最終的に視細胞の電気的興奮として脳に情報が伝えられる.可視光に広く応答するロドプシンや,色の三原色によく応答するロドプシンなどがある.これらは同じレチナールを有するが,それを取り囲むタンパク質オプシンのアミノ酸配列がわずかに異なり,異なる波長の光に応答できるようになっている.[CAS 9009-81-8][別用語参照]視紅

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百科事典マイペディア 「ロドプシン」の意味・わかりやすい解説

ロドプシン

視紅とも。レチナール(ビタミンA1アルデヒド)を発色団としてもつ色素タンパク質。暗所における網膜の杆(かん)体の外節中に含まれ,鮮紅色。光にあたると退色して黄色のレチナールとタンパク質オプシンに分解し,前者はさらに酵素作用によりビタミンA1となる。明暗の識別はこの際に杆状体細胞に起きる一過性の膜電位変化による刺激が視神経に伝えられることによる。暗所ではこれらビタミンA1,オプシンからロドプシンが再合成される。ビタミンA欠乏が夜盲症の原因となるのは再合成ができなくなるため。
→関連項目夜盲症

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栄養・生化学辞典 「ロドプシン」の解説

ロドプシン

 視紅という視色素で,11-cis-レチナールとタンパク質であるオプシンで構成され,光を受けてその信号を脳へ伝えるうえで,光を受け止めるという重要な作用をする.

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世界大百科事典(旧版)内のロドプシンの言及

【視覚】より

… 視細胞に光が当たったときに,光のエネルギーを吸収して光化学変化を起こすのが感光色素である。杆体の感光色素はロドプシンで,光が当たると分解してビタミンA1のアルデヒドであるレチナール1とオプシンというタンパク質になる。暗黒中では,十分レチナール1が存在するときには,レチナール1とオプシンからロドプシンが再生する。…

※「ロドプシン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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